はんこはクールな土産物 鎌倉で外国人観光客の購買急増、市も魅力PR

鎌倉市がフランス・ニース市の市長、副市長に贈ったはんこ

 鎌倉を訪れる外国人観光客に自分の名前が漢字やカタカナで彫られたはんこが人気を集めている。鎌倉市は姉妹都市のフランス・ニース市長に漢字の当て字で名前を彫ったはんこを贈呈して、はんこの魅力をPR。行政手続き上の押印を省略する「脱はんこ」の動きで苦境にある業界だが、日本の伝統文化を象徴する土産として海外に活路を見いだしている。

 鎌倉市御成町のはんこ店「鎌倉はんこ」では、昨年から来店する外国人が増えているという。人気は1万円から3万円ほどのはんこで、使う文字や書体、素材などを相談し、職人が製作している。

 来店予約した外国人は昨年65組だったが、今年は昨年の2倍近いペースで推移。予約せずに来店する人も多く、売り上げに占める割合は4倍近くにまでに増えた。アメリカやヨーロッパからの観光客に特に人気があるという。

 購入したはんこの使い方は手紙に署名として押したり、押印した紙を壁に貼ったりする人が多く、はんこ自体を飾る人もいる。

 同店代表の月野允裕さん(44)によると「漢字やカタカナはクール」と感じている外国人が多く、自分の名前が刻まれたアート作品として人気があるという。はんこの歴史を知って来店する人もおり「日本を代表する文化の一つとして高く評価されている」と話す。日本人の誰もが自分のはんこを持ち、各種契約だけでなく結婚や離婚など人生の節目に使われていることに驚く外国人も多いという。

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