渡辺謙、北川悦吏子氏から出演の猛アプローチ 何度も断るもメール3通目で折れる「脅迫ですよね?」

会見に出席した妻夫木聡、北川悦吏子氏、渡辺謙(左から)【写真:ENCOUNT編集部】

「自分の体験から」長年医療を扱った作品への出演を固辞

テレビ東京開局60周年特別企画ドラマスペシャル『生きとし生けるもの』(6日放送、午後8時)の記者会見が5日、都内で行われ、主演を務める妻夫木聡と渡辺謙、出演の原田知世、杉野遥亮、大政絢、そして脚本を担当した北川悦吏子氏が参加した。

メスを握れなくなった外科医・浅倉陸(妻夫木)と、余命宣告されたがん患者・成瀬翔(渡辺)が病院を抜け出して人生最後の旅に出発。人は何のために生き、何を残すのかという永遠の問いの答えを求め、各地を巡る姿を描く。監督は廣木隆一氏が務めた。

妻夫木は『オレンジデイズ』以来20年ぶりに北川氏とタッグとなったが、渡辺が北川作品に参加するのは今回が初。北川氏直々に出演オファーがあったが、「断ったのは1度じゃない。何度か断っていた」という。

渡辺は急性骨髄性白血病を患った経験もあり、「自分の体験から本当に苦しむ患者の気持ちはドラマでは描けない」という思いから、長年医療を扱った作品に出演するのを固辞していた。北川からメールで出演オファーを受けるも、その思いを「かなり長文で丁寧に」送信。しかし、「その3倍の長さのメールが返ってきた」と明かす。「本文の後の追伸もさらに長くて。うわぁ、これは困ったなぁって(笑)」。

北川氏自身も難病と闘いながら執筆活動を続けている。その思いやドラマに込めた生死観に触れながら、渡辺は「リングのコーナーに追い詰められるようなメールが返ってきて、3回目で僕はノックダウンでした」と折れる形で出演することに。北川は「ストーリーを書いたとき、謙さんを想定して書いてしまったので」と粘った理由を明かすと、「それって脅迫ですよね?」と渡辺からツッコまれたが「そう脅迫(笑)」と開き直った。

北川氏は「謙さんも大きな病気をされていたので医療ものは嫌だと思ったけど、『私も本当は嫌なので半分背負っていただけませんか』と書きましたね。本当に死を恐れたことがある人が演じたほうがいいものになる、という悪魔のような気持ちもあった。謙さんが演じなかったらほかの方が演じるけど、そのときガッカリするだろうとも伝えた。感情のままにメールに思いを書きました」とし、「読み返すと今は書けない。恥ずかしい」と会見の場で赤面した。

そうして出演することになった本作。演じたがん患者は「北川さんの気持ちを代弁している役」と渡辺は紹介する。「なので演じているときは降りてきましたよ、北川悦吏子が。やると決めたからにはそれは踏み込みました」と話した。ENCOUNT編集部

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