実は名作ぞろい! 任天堂にハドソン…人気メーカー「ファミコン最後のタイトル」はどんなゲームだった?

1983年に任天堂から発売され、瞬く間にゲームブームを巻き起こした「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」。新たなハードの登場なども関係し、発売から11年後の1994年にファミコンの最後のソフトが販売され、本機は発売20周年を迎えた2003年に生産終了となった。

今回は、一時代の終焉を飾った、各メーカーの“最後のファミコンソフト”について見ていこう。

■ファミコンの生みの親が送り出す骨太パズルゲーム『ワリオの森』

ファミコン発売以降、今もなお多くのゲームタイトルを産出し続けている人気メーカー・任天堂。同社が最後に発売したファミコンソフトは、1994年に登場した『ワリオの森』だ。

任天堂を代表する有名キャラクター・マリオのライバルとしてさまざまな作品に登場するワリオを題材に、彼が支配した「妖精の森」を奪還すべく、プレイヤーはキノピオを操作し、妖精たちの“爆弾を生み出す力”を活用しながら、奮闘していく。

いわゆる「アクションパズル」というジャンルで、落下してくるモンスターや爆弾をうまく動かし、フィールド上のモンスターをすべて退治することでステージクリアとなる。

モンスターは同じ色の物を並べることで消すことができるのだが、「同色の爆弾1つを並べる必要がある」、「モンスターごとに並べるべき方向がある」などなど、独自のルールが絡むことによって一筋縄ではいかない仕様となっている。

シンプルな操作性ではあるものの、前述したような本作ならではの要素が多く存在していることから、パズルゲームとしての難易度は意外にも高めだ。モンスターの特性を把握し、落下物の位置を見極めながら的確に動く判断力、操作テクニックがクリアには不可欠となってくる。

ちなみに本作は、2001年にゲームキューブで発売された『どうぶつの森+』内の“ファミコン家具”として実装されたり、バーチャルコンソールで配信されたりと、意外な形でのちのゲーマーたちにも触れられる形となった。

パズルゲームとしての骨太な出来もさることながら、任天堂最後の一作を締めくくったのがキノピオ、ワリオというキャラクターたちであることに驚かされてしまう。

■伝説的RPGの影に隠れた知る人ぞ知る名作…『ジャストブリード』

名作RPG『ドラゴンクエスト』でお馴染みのゲームメーカー、エニックス(現:スクウェア・エニックス)も、ファミコン時代から数々のヒット作品を手掛けてきた。同社がファミコン最後のタイトルとして発売したのが、1992年の『ジャストブリード』なる一作だ。

本作は、マップ上で“ユニット”となったキャラクターたちを動かし戦うターン制の「シミュレーションRPG」だ。音楽は『サクラ大戦』などで有名な作曲家の田中公平さんが手掛けていたり、キャラクターデザインに『3×3EYES』の高田裕三さんを起用したりと、豪華なスタッフが集結し制作された。

各部隊を取り仕切る個性豊かな隊長キャラクターたちと、彼らが率いる魔法使いや剣士といったユニットの力を駆使し、プレイヤーは“魔物”をはじめとするさまざまな敵と激戦を繰り広げていくこととなる。

数年の月日を開発に要したということもあり、漢字が使用された見やすいフォントや、それまでのRPGよりもリアルさを追求したゲームデザインなど、なかなかに練り込まれた一作となっている。

だが一方で、『ジャストブリード』が発売された1992年は、国民的人気RPG『ドラゴンクエストⅤ 天空の花嫁』や、『ファイナルファンタジーⅤ』などの人気ソフトが続々と発売された年でもあり、結果的に“知る人ぞ知る一作”となってしまった。

ファミコン時代において実にハイクオリティな一作ではあったものの、次代を担う名作たちの影に埋もれてしまった、どこか物悲しい作品といえるかもしれない。

■ファミコン最後の一本を飾るのはご存じあの“名人”…『高橋名人の冒険島IV』

これまで各メーカーごとの“ファミコン最後の一本”を見てきたが、ファミコンというハード全体において“最後の一作”となったのは、いったいどんな作品だったのかと気になる人もいるだろう。

それこそが、1994年6月にハドソンから発売された『高橋名人の冒険島IV』だ。ハドソン最後の一作にして、同時に“ファミコン最後の一作”となった記念すべきゲームソフトである。

かの高橋名人を主役に据えた人気シリーズのナンバリング作品なのだが、本作はこれまでの作品に比べ、システム面、ゲーム性に大幅な変更がされている。

たとえば、これまではステージをクリアすることによってエンディングを目指すシンプルな「アクションゲーム」であったが、本作では随所で手に入る“キーアイテム”によって徐々に活動エリアを広げていくという、探索要素が強くなったゲームデザインとなった。

ボスを倒すことで障害物を排除したり、手に入れたアイテムや恐竜の力で今まで行けなかったエリアに行けたりと、新たな楽しみ方を味わうことができる。

また、それまでの「バイタリティ」ではなくライフ制の体力が採用されたほか、スコア制の廃止、グラフィックの差し替えなど、さまざまな変化に驚かされた従来ファンは多いだろう。

だが、それを補って余りある膨大なボリュームが本作のウリといえる。多種多様な「ウェポン」はもちろん、1つずつストックできる「スペシャルアイテム」や、乗り物として活用できる「恐竜」など、個性豊かなアイテムやアクションを駆使し、広大なマップを自由に探索することができるのだ。

無論、本編以外にも豊富なミニゲームが用意されていたりと、随所に用意された仕掛けがプレイヤーたちを飽きさせない。

ファミコン最後の一作でありながら、その高いクオリティでファンをうならせた記念すべき名作といえるだろう。

時代の移り変わりとともに自然とブームも下火になっていったファミコンだが、各メーカーから最後に発売されたタイトルはどれも力作ばかり。なかには新作ハードの登場によって認知度が低くなってしまった作品もあり、実に惜しいといわざるをえない。

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