歴史的な円安と物価高の中、ゴールデンウィークに稼ぎまくる人たちをMr.サンデーは総力取材した。
意外なもうけ方にピンチを乗り切るヒントがあった。
「麺屋煮川・BOKUくま」店主・野口隼人さん（26）：
ゴールデンウィークで稼いで、草津で一獲千金っていうか。モルディブに行きたくって。
4月、群馬県の草津温泉に、飲食店をオープンした野口隼人（のぐち・はやと）さん（26）。
ゴールデンウィーク後半に入った、5月3日金曜日の1日の売り上げはなんと…
「麺屋煮川・BOKUくま」店主・野口隼人さん（26）：
22万9150円です。まあこんなもんかなと。
わずか1日で、約23万円。
さらに4日は…27万円を超えた。
「麺屋煮川・BOKUくま」店主・野口隼人さん（26）：
ゴールデンウィークになった瞬間、（売り上げが）倍ぐらいとかには変わってきている感じですね。継続できればいいかなと。
ゴールデンウィークで一獲千金。
彼が目をつけたものとは…?
一獲千金の秘密：増える素泊まり客
ゴールデンウィーク後半、草津温泉には、多くの観光客の方が訪れていた。
家族連れの父親：
せっかくの大型連休ですから、子どもたちの思い出を作れないかなと。
男性観光客：
（団子）おいしいです。
男性観光客：
こんだけデカかったら食い応えあるわ！
今年、全国の人気温泉地ランキングで1位に輝き（「じゃらん人気温泉地ランキング2024」（じゃらんリサーチセンター調べ））、ゴールデンウィークも国内外からの観光客でにぎわう草津温泉。
外国人観光客：
ガイドブックでよさそうだったから！
外国人観光客：
温泉大好き！
夜になり…
観光客は、宿泊する宿で食事…なのかと思いきや…
夕食時にもかかわらず、温泉街には多くの人出が。
そのワケは…
観光客：
素泊まりで。もう全部外で食べようっていう。
観光客：
（宿泊プランに）夜ご飯だけ付けてない。夜いろんな店を見ながら選びたかったので。
実は今、素泊まりの宿や、夕食なしのプランを選ぶ客が増えたのだという。
5月には、素泊まりのみの新たなホテルも登場していた。
その支配人に話を聞くと…
素泊まりホテル「湯畑泉水」支配人・金井佳巳さん：
（ゴールデンウィークの）稼働率というのは90%ぐらいです。お年を召された方っていうのは夕食が付いて、朝食が付いてっていうプランを選ばれると思うんですけど。若い子たちが価格帯を抑えて旅行をしたいっていう方が増えているっていうのが一番多いんではないですかね。夜は好きなものを食べて、朝ご飯はそんなに食べずに帰っていくという。
日本人観光客は、円安や物価高もあって旅行費用を安く抑えたい。
一方、外国人観光客は長期滞在が多く、自分で選んだ食事を楽しみたい。
そうした傾向から、“素泊まり需要”が増えているのだという。
さらに宿側にも、こんな事情が…。
素泊まりホテル「湯畑泉水」支配人・金井佳巳さん：
草津のここで働いている人たちって、群馬県出身者がほぼいないです。リゾートバイトで草津に来て。県外の労働者でまかなっている状態です。
人口約6000人の草津町に、2023年度に訪れた観光客数は、過去最多となる370万人以上。
宿の働き手を地元の人だけではまかなえず、県外からアルバイトを募っているというのだが…
「食事付き宿」の支配人はこう語る。
食事付き宿「喜びの宿 高松」支配人・ポカレル・プラモドさん：
なかなか求人出しても、あまり集まらないとかですね。来ても短い期間でやめたり、人手不足っていうのがあります。
働き手が集まりやすいのは、作業内容が多い「食事付き宿」より「素泊まり宿」。
こうした事情もあって、「素泊まり宿」がますます増えているという草津温泉。
その結果、街にある変化が…。
夕食にありつけない素泊まり客をターゲットに
群馬・草津町飲食店組合組合長・山口武則さん：
素泊まり宿が増えたので、どうしても食事を外でするお客様がだいぶ増えた。食べるところがなかなか見つけづらい。早く閉まっちゃうお店もあるので。
素泊まり客が夕食を外で食べようにも、それまで宿での夕食が当たり前だったため、そもそも飲食店が足りず、閉店時間も早い。
コンビニエンスストアに長蛇の列ができるようになったという。
そんな「夕食にありつけない素泊まり客」に目をつけたのが…、
このゴールデンウィークに一獲千金を果たした野口さんだった！
夕食時になると…店内は満席に！
ラーメン店の客：
ねぎみそラーメン食べました。
ラーメン店の客：
鰹節とかが乗っかってて、和風な感じなんですよね。だしがすごく魚介っぽい感じっていうか。
看板メニューは、魚介系の和風だしが香る「チャーシューメン」。
人気の秘密は味だけでなく…
ラーメン店の客：
夕食に困って。夜まで開いてるところがここくらいだったので。時間調べてね、ここだけ開いてるわって。
夜の営業時間は、午後5時から深夜0時。
周りの飲食店が閉店している中、夕食を求めてやってきた素泊まり客でにぎわっていた。
「麺屋煮川・BOKUくま」店主・野口隼人さん（26）：
素泊まりの方をターゲットにした夜型の時間帯と、飲んだあとの締めのラーメンの方の夜中の時間。それをターゲットで。
ちなみに、夜のラーメンだけでなく、食事時以外は、ベビーカステラやアイスのテイクアウト販売も始め…それもこのゴールデンウィークに大当たり！
「麺屋煮川・BOKUくま」店主・野口隼人さん（26）：
先月が、（売り上げ）200から300万円弱だったんで。（ゴールデンウィークがある）今月はもう倍狙ってやりたいんで。
そんな野口さんを横目に、草津温泉では最近になって閉店時間を延ばす飲食店もちらほら。
わずか1〜2時間、店を開け続けることで…
群馬・草津町飲食店組合組合長・山口武則さん：
売り上げ1.5倍ぐらいですかね。
飲食店店主：
（売り上げは）倍から2.5倍じゃないですか。
国内最大級の“フリマ”で賢く稼ぐ
ゴールデンウィークに賢く稼ぐ。それは東京都内でも。
4日・5日と、東京・品川区の大井競馬場で開かれた国内最大級のフリーマーケット「Tokyo City Flea Market」は大勢の人でにぎわっていた。
出店料4400円で、誰でも中古品などを売り出せるというが、1日の売り上げを聞くと…
古物販売店店主・今野さん：
（1日）14万（円）ぐらいか、うん。戦略だね。
フリマで1日14万円! いったい何を売っているのか?
古物販売店店主・今野さん：
こういう鍔（つば）とか、鍔、刀の鍔とか。日本の古いものを好んで結構買いに来る。外国人も多いし、それに寄った品物を持ってくれば、外国人が買う。
見てみると、確かに会場のいたるところに外国人の姿が!
来場者数は1日約7000人。そのうち4割にのぼるという。
アメリカ古着店販売店員：
海外の方だと1万円くらいのTシャツを買っていただいたりとか。おかげさまで、よかったです！
円安もあって、高い商品も飛ぶように売れるといい…
そんな外国人のニーズに合わせて、キャッシュレス決済を導入する強者も！
ディレクター:
どれくらい稼がれました?
オフィスたけ店主・高橋さん：
言えないね。
ディレクター:
ウハウハの方?
オフィスたけ店主・高橋さん：
すごいっすよ。すごいですよ。金額言えないよね。ウハウハ。3本はいかないよ、2本だけど。
実際、外国人観光客を相手に、どんな物が売れるのか? 見ていると…
伝統工芸・こけし。
カナダ人女性：
本当にカワイイわ。ここにはコレを買いに来たのよ。
こちらのオランダから来た女性2人組は…なんと、2人あわせてこけしを12本!
オランダからの観光客・ノアさん：
お母さんが、これが欲しいって写真を送ってきたんです。
—— これが何か、ご存じですか？
オランダからの観光客・ノアさん：
いいえ。知らないけど…。
国内最大級のフリーマーケットで外国人たちに人気を博した「こけし」。
Mr.サンデーが話を聞いた12組中、6組がこけしを買っていた。
カナダからの観光客：
名前は忘れたけど、女性のYouTubeチャンネルでフリーマーケットのこけしが紹介されていたのよ。インテリアとしてとても美しいわ。テーブルの上に置いたりとかね。
さらに、外国人に受けていたのは伝統的なものだけでなく…
ディレクター:
買ったもの見せて？
アメリカからの観光客:
（日本語）アカチャンのくつ。「ドラゴンクエスト」のガイドブック。ニホンサイコウ。
フランスからの観光客：
ファミコンです、古くていいものです。私たちは日本のビデオゲームのファンなんです。
外国人たちの心をつかんで一攫千金！
初めての“フリマ”に挑戦する家族に密着
そんなゴールデンウィークのフリマに初めて挑む家族がいた。
父・田所さん（45）:
ハルちゃん、お店屋さんやりたかったんだよね?
遥香ちゃん（8）:
パパが全然してくれなかった。
2人の小学生がいる4人家族の田所さん。
母・由貴さん（46）:
やっぱり物価が高いので、食費とかも。みんなでおいしいものを食べに行けるぐらいの1万か2万円ぐらいだけでも、まず。ちょっと初めてなので、欲は出さず。
ディレクター:
ーーお金どれくらい稼ぎたいですか?
遥香ちゃん（8）:
3000円くらい。
ディレクター: 遥香ちゃん（8）:
ーー何に使いたいですか？
自分でお菓子とか買ったりとか。
と、やや控えめな目標ながらも…
母・由貴さん（46）:
ぬいぐるみとかは売れないかなと思ったんですけど。外国の方とかもすごく手に取って見てくださいますね。ちょっとインバウンドの方狙って頑張りたいと思います。
8歳の遥香ちゃんが売りに出した、ぬいぐるみやクッションに期待を寄せる。
遥香ちゃん（8）:
これは200円なんですけど、もしよければ100円でもいいです。
ベトナム女性:
優しい、優しいから買う。
小さいぬいぐるみは売れるが、大きなものはなかなか…
遥香ちゃん（8）:
いらっしゃいませ。
父・田所さん（45）:
大きいやつ。
遥香ちゃん（8）:
（クッションは）800円です。これは400円で、これも400円です。これ（クッション）700円でもいいですよ。
遥香ちゃん、外国の方を相手に臨機応変に値下げするも…残念。
苦戦する中…
遥香ちゃん（8）:
ママ見て。
母・由貴さん（46）:
（ぬいぐるみに）日傘差してあげたの? なんで?
遥香ちゃん（8）:
なんかイメージがある。
遥香ちゃん、見せ方を演出し…
遥香ちゃん（8）:
これ買ったら無料でどれか1つあげるの、ちっちゃいの。
父・田所さん（45）:
いいじゃん。
サービスのアイデアを出す。
そして…
父・田所さん（45）:
サンキュー！
遥香ちゃん（8）:
サンキュー。
買ってくれたのは、スペインの少女。
大きなぬいぐるみが800円で売れた。
遥香ちゃん（8）:
うれしい。
ディレクター：
ーーそのお金何に使いますか？
遥香ちゃん（8）:
やっぱり大人になってから子どもにあげる。
その後も親子あわせてシャツなどが売れ、田所家の1日のもうけは…2万1000円。
お母さんの目標は達成！ でも…
遥香ちゃん（8）:
楽しかった。
母・由貴さん（46）:
もっと売れると思った？
遥香ちゃん（8）:
(うなずく)
母・由貴さん（46）:
どうだった？ 難しかった？
遥香ちゃん（8）:
（離れていく）
母・由貴さん（46）:
（遥香ちゃん）予想以上に稼げなくて、ちょっといじけてますけど。今って全部PayPayとか、現金をやりとりする場面がないので、子どもにお金の価値じゃないですけど、物を売ってお金をもらうのがどれだけ大変なのかとか、すごく勉強になったなっていうのは感じました。
（「Mr.サンデー」5月5日放送より）
