中国山西省で明代の磚室墓を発見 良好な保存状態

中国山西省で明代の磚室墓を発見 良好な保存状態

明代磚室墓で見つかった椅子に施された美しい装飾。(資料写真、忻州=新華社配信)

 【新華社太原5月6日】中国山西省の忻州(きんしゅう)市文物考古研究所は、同市忻府区河習頭村の近くで明代の紀年銘のある磚室墓(せんしつぼ、磚=れんが)を発見したと発表した。墓の造りが精巧で、副葬品も多く、木製葬具と祭礼品の保存状態が良い明代墓は省内でも珍しいという。

中国山西省で明代の磚室墓を発見 良好な保存状態

明代磚室墓の「甲」字形平面プラン。(資料写真、忻州=新華社配信)

 墓は山西省考古研究院と忻州市文物考古研究所が国道工事に合わせて2023年7~12月に実施した発掘調査で見つかった。平面は「甲」字形で、東西25メートル、南北6.4メートル、深さ6.2メートル。墓道、墓門、甬道(ようどう、通路)、主室、後室、南北の壁龕(へきがん、壁面のくぼみ空間)で構成され、石造の墓門は門楼、石板扉、石門からなり、擬木構造の門楼には纏枝花卉文(てんしかきもん)が彫刻されていた。

中国山西省で明代の磚室墓を発見 良好な保存状態

明代磚室墓のひつぎ木板に描かれた花草禽鳥図。(資料写真、忻州=新華社配信)

 主室中央には棺椁(かんかく、外棺と内棺からなるひつぎ)2基が安置されていた。南側の棺椁は小さく、外棺の側板は既に腐朽し、ふたの上には磁器罐(かん、貯蔵容器)、符瓦(符文が書かれた瓦)、磁器碗が置かれていた。内側の棺木は完全な状態で残り、棺板の四周に油性塗料で花草禽鳥図が描かれていた。北側の棺椁は大きく、外棺も完全に残った状態で、四周は茶褐色の油性塗料で塗られ、金菱の図案が描かれていた。

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明代磚室墓の後室に置かれた祭祀道具。(資料写真、忻州=新華社配信)

 主室の南北にある壁龕には南側に磁器罐4点、北側には磁器罐5点と磁器瓶4点が置かれ、穀物や液体、油脂などが入っていた。後室内には木製の供物台や机、椅子などがあり、燭台(しょくだい)や灯明台、香炉、錫壺(スズ製の壺)、錫皿、彩絵が施された木俑などの祭祀(さいし)道具、すずりや筆、筆架などの文房具が置かれていた。

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明代磚室墓の北側壁龕で見つかった磁器罐と磁器瓶。(資料写真、忻州=新華社配信)

 忻州市文物考古研究所の路寧(ろ・ねい)副所長によると、被葬者は墓誌と買地券(副葬用に作られた冥界の土地契約書)の記載から王洛(おう・らく)という人物と分かった。明代の忻州で名声を博した官吏、王治(おう・ち)の弟で、嘉靖12(1533)年に生まれ、万暦16(1588)年に55歳で死亡した。

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明代磚室墓で見つかった擬木構造の石刻墓門。(資料写真、忻州=新華社配信)

 路氏は「墓は保存状態が比較的良く、地域の明代墓の形状や葬俗文化、家具の組み合わせと形式などを研究する上で貴重な実物資料になる」と語った。(記者/王学濤)

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明代磚室墓に安置された二つの棺椁(かんかく)。(資料写真、忻州=新華社配信)

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