中国初、コンテナ船上でのCO2回収を実現

中国初、コンテナ船上でのCO2回収を実現

1日、作業を終え港を出航する、国内初となる炭素回収システムが搭載されたコンテナ船「エバートップ」。(ドローンから、上海=新華社配信)

 【新華社上海5月6日】中国上海市の洋山出入境辺防検査ステーション(出入境検査所)は、港での必要な作業を終えたパナマ船籍のコンテナ船「エバートップ」が1日正午、上海洋山深水港第1期ふ頭から出港したと明らかにした。

 今回の作業は従来とは異なり、コンテナの積み降ろしと同時に液化二酸化炭素(CO2)貯蔵タンク1本の荷下ろしも行った。貯蔵タンクは船に増設された炭素回収システムの一部分で、同システムは船のエンジン作動時に放出されるCO2を回収して液化・貯蔵する。国内初となる液化CO2(貯蔵)タンクの荷下ろしは、遠洋航行船舶の燃油消費からCO2回収・貯蔵・利用までのクローズドループが構築されたことを意味する。

中国初、コンテナ船上でのCO2回収を実現

1日、液化CO2の回収を行う作業員。(上海=新華社配信)

 船齢10年の「エバートップ」に増設された炭素回収システムは中国が独自に開発、設計、建造した。有機アミンを用いた循環吸着技術で、船の主機(メインエンジン)から排出される混合ガスからCO2を分離する。世界の現役船は今なお従来型の燃料が主であることから、同システムの市場は見通しが明るい。乗船検査を行った出入境検査所の警察官によると、同号は炭素回収システムの増設作業完了後、今年1月18日に市内の呉淞錨地(停泊地)を出港して欧州航路を航行し、4月29日に帰港した。

 洋山深水港での停泊期間中、改造実施業者のエンジニアが同船に乗り込み全行程における炭素回収システムの運用状況を確認した。今回の欧州往復の航行総距離は3万5千カイリ(約6万4820キロ)で、CO2の総合回収率は最大80%以上に達するという。改造実施業者は、コンテナ船の新規建造や動力システムの改造に比べて、炭素回収システムの増設は初期投資や運用コストが抑えられるため、費用対効果が比較的高い炭素削減手段の一つであり、船舶の全ライフサイクルにわたるCO2排出削減ニーズを満たせると説明した。(記者/楊愷)

中国初、コンテナ船上でのCO2回収を実現

1日、液化CO2の回収を行う作業員。(上海=新華社配信)

中国初、コンテナ船上でのCO2回収を実現

1日、作業を終え港を出航する、国内初となる炭素回収システムが搭載されたコンテナ船「エバートップ」。(ドローンから、上海=新華社配信)

中国初、コンテナ船上でのCO2回収を実現

1日、液化CO2の回収を行う作業員。(上海=新華社配信)

中国初、コンテナ船上でのCO2回収を実現

1日、コンテナ船「エバートップ」に横付けする液化CO2を積んだタンクローリー。(上海=新華社配信)

中国初、コンテナ船上でのCO2回収を実現

1日、液化CO2の回収を行う作業員。(上海=新華社配信)

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