サカナクション山口一郎“うつ病”と闘いながらの復活ライブ舞台裏に密着 メンバーの涙に「自分だけが苦しかったんじゃないんだな」

ボーカル 山口一郎さんの体調不良のため2022年7月からライブ活動を休止していた5人組バンド・サカナクション。そんなサカナクションの全国アリーナツアーが2024年4月20日からスタートし、約2年ぶりに完全復活しました!
これまで10年以上にわたり様々な企画でサカナクションを取材してきた『めざましテレビ』がアリーナツアーのリハーサルなど、完全復活の裏側に密着!
さらに山口さんがテレビカメラの前で初めてうつとの闘病の日々を告白してくれました。

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ソロライブで“うつ病”を公表した山口一郎 「病気のことを知ってもらうチャンス」

「病気バンドみたいに思われるのもなんか嫌だなみたいな。ただ、病気のことを知らない人に知ってもらうチャンスにもなるのかなと。音楽業界でのこの病気との付き合い方みたいな、マニュアルみたいなものがこれをきっかけにできていったらいいなと思っています。」
そう語るのは、約2年ぶりに活動を再開したサカナクションのボーカル・山口一郎さん。

2024年4月20日、サカナクションの約2年ぶりとなる全国アリーナツアー「SAKANAQUARIUM 2024“turn”」の初日公演が行われ、会場の幕張メッセには復活を信じて待っていた多くのファンが集結しました。

サカナクションは2022年7月から山口さんの体調不良を理由にライブ活動を休止。
そして山口さんは2024年1月、完全復活のリハビリを兼ねて行われたソロライブツアーの千秋楽で、「うつ病」であることを公表しました。

ステージ上で山口さんは「僕が患った病気は“うつ病”です。苦しくてあがいていました、この2年間。…しんどかった」と、ファンたちへ語りました。

そんな中で迎えたツアー初日。
「サカナクション復活でーす!!!」と山口さんの言葉に割れんばかりの歓声で応える
約2万人のファンたち。

ライブは2年間のブランクを感じさせない高揚感あふれたパフォーマンスで、会場は歓喜の渦に巻き込まれて行きました。

しかしライブ前、山口さんはリハーサルで「盛り上がるかどうか…」と不安を吐露していました。

日々変化する体調に合わせてのリハーサル メンバーから活動再開への本音も 山口の体調に合わせてのリハーサル メンバーから活動再開への本音も

約2年間、自身のうつ病と向き合い療養を続けていた山口さん。
『めざましテレビ』は、サカナクション復活となるツアーのリハーサルに密着しました。

山口:「果たしてワーって盛り上がるかどうかが不安。」
江島:「いやー歓声はあがるでしょ、さすがに。」
山口:「みんな棒立ちだったらヤバいじゃん。」
江島:「それは多分ない、棒立ちはないんじゃない。」

ライブへの不安を口にする山口さん。5人でのライブリハーサルはおよそ2年ぶりとのことで、「体調もなかなか本調子といかない状態でリハーサルも迎えていましたし、どうなるかなって思っていました。リハーサルの場に行くのが本当に久々だったので、実は最初、結構緊張していました。」と久しぶりのリハーサルへの思いを語りました。

山口さんの日々の体調に合わせて進行していくリハーサル。
ドラムの江島啓一さんが山口さんに体の具合を確認する場面も…。

山口:
これ本編2時間コースになってんじゃない?過去最長じゃない?
まぁでも復活だからこれぐらいモリモリやってもいいけど、
ファンもけっこう年齢あがっているから疲れちゃうよね。

江島:
とりあえず曲やる?どのくらいできる?

山口:
とりあえず歌うところはできるよ。

江島(ドラム):
OK、どれだけ疲れるか。

リハーサルの完成度について江島さんは「一郎が体調不良で来られなかった期間が何日か続いたので、その間にやれることはやっていましたが、細かいところは決めきれませんでしたね。」と不安をのぞかせます。

また山口さん自身も、新しくはじめた治療のおかげで最近は順調といいますが、
「調子が良い日が続くとやっぱりまた調子が悪い日が来てっていう“揺り戻し”が必ずあって…」と、現状について告白。

そんな中、メンバーでベースの草刈愛美さんやドラムの江島さんからも活動再開について本音が…

草刈:
色々慎重になっちゃう。大丈夫か?みたいな。

江島:
リハーサルが始まったとしても途中で(ツアーが)中止になってしまうんじゃないかっていう、その可能性はゼロではないなってずっと思っています。でもそれを考えてもしょうがないかなって。

待ってくれていたファン メンバーの涙に「自分だけじゃない…」 待ってくれていたファン メンバーの涙に「自分だけじゃない…」

日々体調に変化がある中、なぜ全国ツアーの開催に踏み切れたのか?
山口さんは、完全復活へのリハビリを兼ねて行ったソロツアーの成功が大きいといいます。

「2年間も闘病生活を送ってきて、やっぱりうつ病のことを自分で熟知してきているので。どこかでは必ずしんどい時が来ると思うんです。ただ単独ツアーの時も本当にしんどいときがあったんですが、不思議なことにステージに立ってしまえば大丈夫なんです。ステージにさえ行ければなんとかなるってこともわかったので。」

自分を信じた決断…。
そうして幕を開けたサカナクションとして2年ぶりのライブ。
力強い山口さんの歌とメンバーの演奏に、全身で反応する観客たち。

2年の間に募った思いを爆発させました。

客席から聞こえるファンの「おかえり」の声。
それに対して山口さんは両手を上げ無邪気な笑顔で「ただいまー!」と応えました。

ステージからの光景に、ライブ中にドラムの江島さんが思わず涙を流す場面も…。
江島さんの肩を抱き山口さんが声をかけます。

ライブについて山口さんは、
「メンバーもこの日を迎えるために頑張ってくれたし、嬉しかったです。泣いているのを見て。同じ気持ちだったんだなというか、自分だけが苦しかったんじゃないんだなっていう…。2年間の自分の病気で苦しかった時のこととかがフラッシュバックしてきたし、この瞬間のために頑張ってきていたっていうのを噛み締めながら。祈るように歌っていましたね。」と語りました。

「これからも僕たち私たちサカナクションを、よろしくお願いします!」
ライブでファンに向けて復活を力強く呼びかけた山口さん。

最後に舞台裏でも、グループの再出発についてあらためて語りました。

「自分のこの病気と付き合っていきながら、ありのままの、病気と肩を組みながら音楽好きの兄ちゃん、姉ちゃんの人生をそのままさらけ出してミュージシャンとしてやっていく姿をちゃんと見せることが大事かなと。
ここから始まるだけだから。新しいサカナクション、新しい自分にね。」

(『めざましテレビ』2024年4月23日放送より)

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