原点と現在が交錯する夜、キタニタツヤの武道館公演を放送

米津玄師に続く、ボカロP出身の次世代型シンガーソングライターとして、もっかブレイク中のキタニタツヤ。その初の武道館公演の模様が、5月25日にWOWOWにて独占放送・配信される。

キタニタツヤ

キタニタツヤが世間の注目を集めたきっかけとなったのは、2017年に発表した「こんにちは谷田さん」名義のボカロ曲『芥の部屋は錆色に沈む』。その後2018年にはギター、ベース、プログラミングなど、マスタリング以外のすべての作業を1人で完結させたソロ作品『I DO(NOT)LOVE YOU.』をリリースした。

2020年8月にソニー・ミュージックレーベルに所属し、『おそ松さん』『ゆゆ式』などさまざまなアニメに楽曲を提供。2023年にリリースしたテレビアニメ『呪術廻戦 懐玉・玉折』編のオープニングテーマ曲『青のすみか』が配信後3カ月弱でストリーミング総再生回数1億回を記録。年末の紅白歌合戦に初出場するなど、今をときめくトップアーティストへとのぼり詰めた。

なぜ彼がこれほどまでに支持を集めるのか。それは東大文学部卒ならではの豊富な語彙で作り上げた独特の世界観とインモラルな仄暗さを孕むメランコリックな歌声が、Z世代の心にリアルに突き刺さるからではないだろうか。

今回放送される日本武道館公演の実施日5月14日は、彼が10年前にボカロP「こんにちは谷田さん」名義で『鯨と水星』を動画サイトに投稿したという、アーティスト活動を始めた記念すべき日。そして同名義で制作したアルバム『彼は天井から見ている』が公演タイトルに掲げられている。

そういった意味でも今回の公演は、彼の原点と現在が交錯するメモリアルな夜となることは間違いない。今の気分を象徴する天才のアニバーサリーライブを見届けよう。放送は5月25日・夜9時にWOWOWライブで放送、WOWOWオンデマンドで配信(放送・配信終了後~アーカイブ配信あり)。

ちなみに前日24日には、ミュージックビデオ・コレクションも配信。画像や動画は、キタニタツヤワールドを構成する要素として欠かせないものだから、この機会にあわせてイッキ見したい。

文/井口啓子

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