ゲーム機販売の長期化を成し遂げた任天堂に注目―5月上旬に決算を発表するゲーム関連企業一覧【決算発表スケジュール】

ゲーム機販売の長期化を成し遂げた任天堂に注目―5月上旬に決算を発表するゲーム関連企業一覧【決算発表スケジュール】

5月上旬はゲーム関連の主要な企業が本決算を迎えるタイミングです。本稿では、注目の企業をピックアップするとともに、決算発表を予定する企業を一覧で紹介します。

連載「ゲーム企業の決算を読む」は

IPを軸にゲーム機販売の長期化を成し遂げた任天堂

5月7日に本決算を発表する任天堂は、2月7日に通期業績の上方修正を発表しました。売上高は従来予想比3.2%増の1兆6,300億円、営業利益は同2.0%増の5,100億円に改めています。円安による為替の影響で売上高、営業利益が押し上げられている模様。

本業においては、映画やテーマパークなどIPを活用した事業が好調で、それがニンテンドースイッチの販売好調を長期化させているという好サイクルに入りました。任天堂はこれまでのアップダウンが激しい業績推移からの転換を図っており、今期の決算は大注目です。

KADOKAWAはELDEN RINGの反動減も「推しの子」のヒットで堅調

5月9日のKADOKAWAは、『ELDEN RING』の反動減で第3四半期累計のゲーム事業は2割の減収となっています。しかし、アニメ「推しの子」が大ヒットしており、グッズの売上は好調。通期の売上高は1.2%の減収を予想していますが、出版や映像事業次第では増収もあり得ます。

出版においてはヨーロッパ、タイ、インドネシアなど海外攻略を進めています。KADOKAWAは「陰の実力者になりたくて!」を海外で成功させた実績を持ち、日本では人気を博しきれなかったタイトルでも、海外では受け入れられることもあります。

ヒットIPの数を増やすだけでなく、エリアを拡大して土壌を開拓している点は勢いのあるKADOKAWAらしい戦略。IPの創出から得意のメディアミックスによる収益の拡大と、波に乗る企業の一つだと言えるでしょう。

モンスト頼みの事業展開からいち早い脱皮が必要なMIXI

5月10日のMIXIのゲーム事業は停滞局面に入りつつあります。

いち早く次の収益柱を立ち上げなければならない中、成長著しいのが公営競技の投票サービスである「チャリ・ロト」。このサービスは増収を重ねており、広義のゲーム市場において注目に値します。なお、同様のサービスはサイバーエージェントも展開しており、両社の競争が激しい状況です。広告によるユーザーの取り合いを行っているということになりますが、母数が無限にあるわけではありません。ユーザーの限界点に達したタイミングで、両社にどれだけの収益貢献をもたらすのかが一番のポイントとなるでしょう。

MIXIは『モンスターストライク』への依存度が高く、家族アルバムサービスの「みてね」の業績推移を見ても、成長性が高いようには感じられません。「チャリ・ロト」の本格的な収益化を待つ前に、M&Aなどによる新規事業の創出が必要なタイミングにも見えます。決算発表においては、中長期的な成長戦略にも注目です。

5月上旬決算発表スケジュール

© 株式会社イード