免疫力の高い体作りをはじめる

「なんだかダルい…」、「どうしてもやる気がでない…」、「最近食欲がわかない…」といった気分の落ち込みや体の疲れ等を経験したことはないでしょうか。これは、いわゆる「5月病」の初期症状です。また、最近では、新卒社員が、新入社員研修や配属が終わった6月頃に仕事に対する意欲や元気をなくすといった心身の不調を訴える「6月病」になる人も多いといわれています。一時的な症状で回復すれば良いですが、この5月病や6月病が引き金となり、適応障害やうつ病などの本格的な精神疾患にならないように注意することが必要です。また、悩みや心配などの精神的ストレスが自律神経のバランスを乱し、免疫力が低下することも考えられます。そんな5月病や6月病気味の人にとって、豆乳が救世主になるかもしれません。今回は、豆乳や大豆たんぱくの研究をされている近畿大学農学部の森山達哉教授に、より快適な生活を過ごすための秘訣についてお話をおうかがいしました。

5月になりましたが、これからの季節に向けて、健康的な生活を送るために必要なことは何でしょうか?

森山先生:まずは、①生活リズムを整えること、②しっかり休養を取ること、そして、③栄養を摂ってバランスのよい食生活を送ることが基本で、とても重要なことです。この時期は、花粉症や黄砂等のアレルギー症状も落ち着きを見せる頃です。また、暑い夏に立ち向かうための体づくり、やがてやってくる秋や冬の感染症対策としても、免疫力を高める体づくりを開始するにはとてもよい季節と言えます。

それでは、免疫力を高めるために必要なことは何でしょうか?

森山先生:免疫力を高めるために最も大切なのは、たんぱく質の摂取です。栄養失調に陥った発展途上国の子ども達が、感染症に罹患し、命の危険にさらされるのは、たんぱく質が不足して免疫が低下しているからなのです。栄養素の中でも、特にたんぱく質が免疫力には非常に大事と言われています。豆乳は、たんぱく質が豊富な植物性の食品で、手軽に飲めることから、良質なたんぱく源の摂取に最適です。また、食物繊維、オリゴ糖も豊富なため、腸の活性化にも寄与し、より、免疫力の維持・向上が期待されます。

バランスの良い食事をとるために、気を付けることは何でしょうか?

森山先生:やはり、多くの種類の食品から栄養素を得るという概念が大切です。たんぱく質の場合は、植物性たんぱく質と動物性たんぱく質をバランスよく摂取することが大切です。その際、特にアミノ酸バランス*を気にすることが重要です。大豆や豆乳は、アミノ酸スコアが100なので、良質なたんぱく質を効率よく摂取することができます。そのため大豆は、「畑のお肉」とも言われていて、昔から日本人にも納豆や豆腐として食されている馴染み深い食品です。植物性食品だけを摂っていても、バランスを崩すので、アミノ酸スコアの高い豆乳や大豆類、そして、動物性たんぱく質も合わせて摂取することが望ましいです。私個人の意見としては、植物性と動物性、そして魚類を1:1:1くらいで食べると、うまくアミノ酸バランスが偏らずに補い合い、また同時に摂取することになる油脂の脂肪酸バランスも整い、好都合ではないかと思います。

最後に

森山先生:健康な体づくりは、1日でできることではありません。毎日毎日の積み重ねが必要です。とくに、春から夏にかけて、この時期は、気候もよく、うっかりだらだらしてしまいがちです。豆乳はアミノ酸スコアが高く、良質なたんぱく質を効果的に摂取するには最適な食品ですが、万能ではありません。①生活リズムを整えること、②しっかり休養を取ること、そして、③栄養を摂ってバランスのよい食生活を送ることを徹底しましょう。加えて、気候の良いこの時期だからこそ、④適度な運動も生活に取り入れてみましょう。

*アミノ酸スコアについて

アミノ酸スコアとは、体内でたんぱく質合成に必要なアミノ酸で、体内で合成できない必須アミノ酸9種類の充足率をスコア化したもの。食品に含まれるたんぱく質を構成する必須アミノ酸の含有バランスを評価する指標であり、100に近いほど体にとって良質だと考えられ、広く用いられている。

(2024年5月2日 豆乳あるあるマップ掲載記事より)

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