イタリア国際欠場のシナーが股関節の検査結果を報告。全仏への出場は「100%の状態でプレーできる場合のみ」と言及<SMASH>

間もなく開幕する男子テニスツアーのマスターズ1000大会「イタリア国際」(5月8日~19日/イタリア・ローマ/クレーコート)を、股関節の負傷により欠場すると発表した世界ランク2位のヤニック・シナー(イタリア)が、ローマで開かれた記者会見に登場。その中で約3週間後に迫る今季2つ目の四大大会「全仏オープン」(5月26日~6月9日/フランス・パリ/クレーコート)の出場について言及し、「プレーするかどうかは身体の状態次第だ」と明かした。

第1シードで出場した先週の「ムチュア・マドリード・オープン」(スペイン・マドリード/クレーコート)で股関節を負傷し、準々決勝の前に棄権を余儀なくされていた22歳のシナー。5月4日には自身のSNSを更新し、「回復が見込めない」として母国で開かれるイタリア国際をスキップすると正式に表明した。

今回の会見でシナーは先日受けたMRI検査の結果、「股関節のケガの状態は予想よりも深刻で、回復できていない部分があった」と報告。四大大会2勝目を狙っている全仏オープンも現時点では状況次第だとし、「ローランギャロス(全仏)も100%の状態でプレーできる場合のみ出場する」と発言した。
ただシナー自身は仮に全仏に出場できなくても、それ自体は致し方ないことだと割り切っている様子だ。昨季から特に大きなケガなくツアーを転戦できている現状に大方満足しているとした上で、決して無理だけはしないようにしたいと話した。

「防げるケガもあれば、防げないケガもある。これまで我々は素晴らしい仕事をしてきた。昨年はケガなくシーズンを通してプレーできたし、今シーズンもここまでケガなくプレーできている。(全仏開幕までに)100%改善しなかったら、もう少し休養を取るつもりでいる。身体のケアは何よりも大切だからね」

「今後はしばらくプレーしない期間を過ごすことになるから、来週からどうやって仕事をしていくのかを見極める必要がある。全仏へ向けて可能な限り最高のコンディションになるよう最善を尽くすけど、ローマで試合をしないままグランドスラム(四大大会)を戦うのは簡単なことではない」

元世界1位のアンディ・マリー(イギリス/現77位)も長年苦しめられてきた股関節の負傷は、ひどくなると選手生命を脅かしかねない。だからこそ、まだまだこの先も長くプレーするであろうシナーがケガを悪化させたくないと考えるのも無理はないだろう。とにかく今は若きニューヒーローの一日も早い回復を願うばかりだ。

文●中村光佑

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