小川麻琴、モー娘。で支えになった「つんく♂さんの言葉」 センター立てずも見つけた「私らしさ」

モーニング娘。加入当時を振り返った小川麻琴【写真:舛元清香】

インタビュー連載第2回「葛藤」

元モーニング娘。の小川麻琴(36)が今月18日、大阪・THE LIVE HOUSE somaで開催されるイベント「eN」で、紺野あさ美(36)と約10年ぶりの共演を果たす。13歳でモー娘。に加入。同じ5期メンバーの紺野、高橋愛、新垣里沙とグループを盛り上げた。卒業後は海外留学を経て、俳優、大学講師、MC、YouTuberとマルチな活動を続けている。今年は初めてフルマラソンを完走。「挑戦したいことは尽きない」と語る小川自身が、その半生をENCOUNTに明かした。3回連載の第2回では「モー娘。時代の葛藤」などを語っている。(取材・構成=福嶋剛)

前回は私の幼少期やモーニング娘。に加入するまでのことを中心にお話しました。今回はその続きです。

モーニング娘。に入って最初の大きな壁が「プロの高いレベル」でした。加入前に地元で少しだけタレント活動のようなことをしていたので、歌もダンスも少しは自信を持っていたつもりだったのですが、入ってすぐにプロの世界の厳しさを目の当たりにし、新潟でコツコツ積み上げてきたものが一気に崩れ落ちた感覚でした。

でも、入ったからには「センターに立ちたい」という夢ももちろん持っていました。私にとって初めてのシングルのミスムン(=『Mr.Moonlight ~愛のビッグバンド~』)で、吉澤(ひとみ)さんの相手役として選ばれた時はとってもうれしかったのを覚えています。次の曲からは(高橋)愛ちゃんがセンターだったのですが、その時は「悔しい」というよりは、「私がミスムンで役割を果たせなかったんだな」と不甲斐なさを感じました。そして、思うようにパフォーマンスができない自分を周りと比べるようになり、徐々に自信を失っていったように感じます。

そんなこともあり、当時は頭も心もいっぱいいっぱいでした。1人で悩みを抱え、『私はこの世界には向いてないのかな』と思うような日々もありました。そんな時に心の支えになったのが、つんく♂さんの言葉です。

自分をなかなか好きになれず悩んでいる時期に「自分を好きじゃない人が、『私を好きになってください』なんてみんなに言うのは、おかしな話じゃない?」と言われました。そして、紙を渡されて「じゃあ、あなたは小川麻琴という商品を売っている小川屋さんだとします。小川屋さんの商品をみなさんに買ってもらうために、小川の好きなところ思いつくだけ書いていてみて」と。私は数個しか書けなくて、「これがたくさん書けるようになったらいいね」と言ってくださいました。その言葉がずっと心に残っていて、私は今でも自分の好きなところを探し続けています。

もちろん、ファンのみなさんの声援にもすごく救われてきました。どれだけ行き詰まっても、「私を見て元気になってくれる人がいる」と思えるだけで頑張れましたし、辛い時期を乗り越える力になりました。まさに、つんく♂さんの言葉にあったように「自分を応援してくれる人達のためにも、自分をもっと好きになってあげられたらいいな」と思うようにもなりました。今でも、私はそんなファンのみなさんに支えられています。本当に感謝しかありません。

モーニング娘。は「今の私を育ててくれた全て」【写真:舛元清香】

センターには立てずも、見つけた「私らしさ」「ポジション」

メンバーとは普段は仲が良くても仕事をしている以上はライバルです。ただ、いつからか「自分は自分」という気持ちも徐々に持てるようになり、「そこを極めていこう」と思えるようになりました。

「私は私にできることを」という気持ちで日々取り組んでいたら、気づいた頃にはモーニング娘。の中でのクッション材みたいなポジションに立っていました。後輩たちにも「『小川さん』じゃなくて、『まこっちゃん』って呼んでもらえるような話しやすくて、いじりやすいキャラというか(笑)。グループにいた5年間でセンターポジションにはなれなかったし、リーダーやサブリーダーにもなれなかったけれど、振り返ると「グループの中での私らしさはしっかり見つけられたかな」と思っています。

私にとってモーニング娘。は、「青春そのもの」で「今の私を育ててくれた全て」です。先輩方から始まり、現在のメンバーたちもさまざまな葛藤を乗り越えながら、今もモーニング娘。の歴史を築いてくれています。私の人生にこんなにかけがえのない貴重な時間を与えてくださったファンやメンバー、スタッフ、家族に心から感謝しています。

そんな私の支えでもあるファンのみなさんとお会いできるイベントが、5月18日に大阪のライブハウスで開催されます。同期で親友のこんこん(紺野あさ美)とハロプロを辞めて以来の共演が実現します。現在は北海道に住んでいるこんこんと「イベントでどんな話をしようか」と連絡を取り合っていて、今からワクワクしています

「小川麻琴物語」は次回が最終回。モーニング娘。を卒業してから現在までのお話をしたいと思います。

□小川麻琴(おがわ・まこと) 1987年10月29日、新潟・柏崎市出身。2001年、「モーニング娘。LOVEオーディション21」に合格し、5期メンバーとして06年8月まで5年間在籍。卒業後はニュージーランドの語学留学を経て、俳優、タレントして活動する傍ら、東洋大総合情報学部の講師を務めている。22年12月、YouTubeチャンネル『小川麻琴とへなぎのIDOBATAちゃんねる!!』を開設し、動画を配信中。福嶋剛

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