【J2「連勝」】首位・清水、MF西澤の左足一閃ミドル先制点で快勝 6連勝を導いたさらなる新システム「3-4-2-1」と秋葉監督の嬉しい悩み(1)

J2首位を走る清水を指揮する秋葉忠宏監督  撮影/中地拓也

■清水が今シーズン初の3バックでスタート

「超攻撃的」が絶好調だ。

J2リーグ第14節が5月6日に開催され、首位の清水エスパルスは最下位のザスパ群馬のホームに乗り込んだ。秋葉忠宏監督が「超攻撃的」、「超アグレッシブ」の姿勢を掲げる清水は、8節から6戦負けなしで、9節から5連勝を飾っている。

前節から中2日というタイトな日程を考慮して、秋葉監督はスタメンを4人入れ替えた。MFカルリーニョス・ジュニオ、MF中村亮太朗、FW北川航也らがベンチスタートとなった。また、MF乾貴士は4試合連続のメンバー外である。

さらにシステムも前節の4-4-2ではなく、3-4-2-1でスタートする。後半途中から3バックへ変更したことは何度もあるが、試合開始からは初めてだ。1トップで起用されたドウグラス・タンキは、出場5試合目で初先発となる。

中2日という準備期間の短さを考えると、スタートからシステムを変えるのはリスクもあったはずだが、そこは「個」のクオリティが高い清水である。11分、こちらも初先発のMF西澤健太が、ペナルティエリア内ほぼ正面から左足のシュートをゴール左上へ突き刺す。前線から規制をかけてボールを奪い、CB高橋祐治がワンタッチで縦パスを差し込み、ドウグラス・タンキが収めて西澤へつないだ。連動した守備と「個」の質的優位を、得点に結びつけたシーンだった。

初スタメンのドウグラス・タンキは188センチのサイズを生かして、その後も最前線で起点となっていく。彼にボールが収まることで2シャドーのMFルーカス・ブラガと西澤が連動し、両ウイングバックも攻撃に関わっていく。ドウグラス・タンキのプレーによって、システムの特性を引き出すことができていた。

■エース北川のダメ押し弾で6連勝!

清水の2点目は、そのドウグラス・タンキから生まれた。後半に突入した56分、MF宮本航汰からのふんわりとしたクロスを、DFと競り合いながらヘディングでプッシュした。このブラジル人FWは15年に群馬でプレーしており、古巣相手の移籍後初ゴールとなった。

その後は群馬にやや押し込まれる場面もあったが、2対0のまま試合を進めていく。90分にはCB住吉ジェラニレショーンのパスから、右ウイングバック北爪健吾がDFラインの背後を突く。ゴール前への丁寧なクロスは、途中出場の北川が落ち着いてプッシュした。北川のシーズン7点目がダメ押しとなり、清水は3対0で勝利をつかんだ。

試合後のフラッシュインタビューに応じた秋葉監督は、「また戦いかたの幅がひろがった」と話した。乾をトップ下に配する4-2-3-1を主戦術としてきたが、北川とカルリーニョス・ジュニオを2トップに配する4-4-2でも結果を残してきた。さらに加えて、この日の3-4-2-1である。指揮官の言葉にもうなずけるところがある。

北川が好調を維持しているだけでなく、ドウグラス・タンキが1得点1アシストの結果を残したことで、秋葉監督は嬉しい悩みを抱えることとなった。ドウグラス・タンキはDFを背負ってもボールを収められるので、相手がハイプレスをかけてきたら彼へロングボールを蹴ることができる。プレス回避の逃げ場になってくれるのだ。

これで清水は6連勝となった。秋葉監督が求めた大型連勝を、どこまで伸ばせるか。現在のチーム状況を見れば、J2でのクラブ記録の9連勝も視野に入ってくる。

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