新社会人で「手取り18万円」です。親は若いころ実家に「仕送り」していたそうですが、自分もそうするべきでしょうか? 親への感謝の気持ちはありますが、収入的にキツイところもあります…

仕送りしている人はどれくらいいるの?

厚生労働省が行った「令和4年国民生活基礎調査」によると、親に仕送りをしている世帯の割合は約2.1%、平均仕送り額は5万6000円でした。この結果から、親への仕送りをしている世帯というのは全体を見るとわずかであることが分かります。平均仕送り額もあくまで仕送りをしている人の中での平均だということを知っておきましょう。

親への仕送りは状況を見て判断を

民法第877条では「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある」と定められており、子どもには経済面で親の面倒を見る義務があります。ただし、誰しもが親の面倒をみなければならないわけではなく、親が金銭的に余裕のある場合には無理に金銭の支援をする必要はありません。

親から仕送りをするようにと求められたとしても、親の経済状況や自分の金銭的余裕を考慮し、難しい場合には親にしっかりとその旨を伝えるようにしましょう。

それでも親仕送りを強要するようであれば、家庭裁判所を通して判断してもらうという手段もあります。

仕送りすると税金がかかる場合もある

贈与を受けたすべての財産に対して原則として贈与税はかかるものですが、扶養義務者である親へ生活費の仕送りをした場合は贈与税がかかりません。
ただし、贈与税がかからないのは、あくまで仕送りしたお金を親が生活のために使っている場合に限ります。

例えば、仕送りのお金を投資や株式・不動産購入などの生活目的以外に使用した場合は、生活のための仕送りとは認められず贈与税の対象になります。また、仕送りを使わずに銀行口座などに預けて貯金した場合も、金額が一定額を超えると贈与とみなされる場合があります。

仕送りをする際は、きちんとその使い道や目的について親子で話し合い、生活に使わない仕送りは余分な税金を支払うことになる、という認識を持っておきましょう。

さらに、親へ高額な仕送りをした場合にも贈与税の対象になる場合があるので注意が必要です。例えば生活用品だとしても、高価なブランド品を贈ると、生活のための仕送りの範囲から外れる可能性があります。

ただし、仮に贈与税の対象になった場合でも、年間110万円を差し引いた残りの額に対して課税されるため、1年の仕送りが110万円以下であれば贈与税はかかりません。贈与税がかからない場合、税金の申告も当然不要となります。

もし贈与税がかかることになってしまった場合、仕送りを受けた親が、もらった年の翌年の2月1日から3月15日までに贈与税を申告しなければなりません。申告をしなかった場合、ペナルティとして延滞税などがかかる可能性があります。

まとめ

民法では、親子は互いに扶養する義務があるとされているものの、親が金銭的に困っていないのであれば、無理に仕送りをする必要はありません。新社会人は何かと出費がかさむでしょうし、給料も高くないため生活にあまり余裕がないことが多いため、無理な仕送りは自身の生活を犠牲にする結果になりかねないため注意が必要です。

もし仕送りをするのであれば、仕送りを親が生活用途以外に使う場合は贈与税がかかることを理解し、仕送りの使い道を明確にしておきましょう。

出典

総務省統計局 令和4年国民生活基礎調査/世帯
国税庁 No.4405 贈与税がかからない場合
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
e-Gov法令検索 民法

執筆者:沢渡こーじ
公認会計士

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