平畠啓史チョイス“至極の11人”|今見なきゃ損! ザヘディがとにかく凄い! 宮代大聖は“上手い”から“怖い”に変貌【J1月間ベストイレブン4月】

芸能界屈指のサッカー通で、J1からJ3まで幅広く試合を観戦。Jリーグウォッチャーとしておなじみの平畠啓史氏がセレクトする「J1月間ベストイレブン」。4月の栄えある11人はどんな顔ぶれになったか。

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まずは横浜F・マリノスに関わるすべての皆様、ACL決勝進出おめでとうございます。準決勝の激闘、そしてスタジアムの熱狂は感動的で、フットボールの魅力がピッチだけでなくスタジアム中に充満していました。決勝も楽しみにしております。

それでは4月のJ1のベストイレブンです。

GKはC大阪のキム・ジンヒョン。ゴールマウスでの存在感は圧倒的。セービングやキャッチングの技術はもちろん、ロングフィードも素晴らしい。横浜戦でのPK獲得に至るゴールキックからのレオ・セアラへのフィードこそキム・ジンヒョンの真骨頂。

その視野の広さはピッチだけに収まらず、ゴール裏のサポーター席で体調不良を訴えるファンがいたため、助けを求めた周りの人たちの声に気付き、レフェリーに試合を止めることを要請したキム・ジンヒョン。すぐに駆けつけたC大阪のメディカルチームも含め、本当に素晴らしい対応だった。

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今シーズンは右サイドバックが豊作。U-23日本代表でも素晴らしい活躍を見せた柏の関根大輝。新天地の磐田で実力を発揮する西久保駿介。インパクト絶大、町田の望月ヘンリー海輝。そんななか、ルーキーながら3試合連続ゴールの活躍を見せた鹿島の濃野公人を選出。守備はもちろん、シュートシーンでのポジショニングと落ち着き。今後も要注目だ。

そして、左に配置するが右サイドバックでのプレーが多いFC東京の白井康介。インターセプトからの爆発的スピードでのドリブル。FC東京の対戦相手は白井サイドへの安易なサイドチェンジは危険だ。チャンスになるはずのサイドチェンジが、一気に危機的状況に変わる。インターセプトからのドリブルでスタジアムを沸かせる白井は本当に魅力的。右サイドバックは激戦である。

センターバックは町田のドレシェヴィッチと広島の中野就斗。存在感十分で安定したパフォーマンスを見せるドレシェヴィッチ。フィードも正確で、目の前にスペースがあると持ち運ぶこともできる。ピッチに安心感を与えることができるセンターバックだ。

荒木隼人の欠場で3バックの中央に入った中野も素晴らしい。マークする相手フォワードに縦パスが入った時、絶妙のポジショニングと卓越したボール奪取の技術で、完全にボールを奪い切ってしまう。中野の守備のテクニックは今後も注目したい。

中盤の3人は、広島の満田誠、名古屋の森島司、そして神戸の宮代大聖。キック精度の高い満田。川崎戦での加藤陸次樹への絶妙なスピード、高さのアシストを含め、4月は3アシスト。ボランチの位置からチャンスを演出している。

名古屋で今シーズン、攻守両面で欠かせない存在になっているのが森島。守備でも貢献しながら、ボールを受けるとチームのために時間を作ったり、カウンターの起点になったりと、攻撃を司る存在になっている。

スムーズにボールを受けて、まったくノッキングすることなく神戸の攻撃を加速させているのが宮代。技術だけでなく、表情から気迫が漲っているのがたまらない。大迫勇也や武藤嘉紀など個性の強い攻撃陣の中でも埋没することなく、“上手い”から“怖い”アタッカーに変貌を遂げている。

フォワードは開幕から好調継続、磐田のジャーメイン良。誰と組んでもゴールを生み出し、4月も5ゴール。通算も10ゴールで、まだまだ数字は伸びそうだ。

C大阪のレオ・セアラは4月、5試合連発で6ゴール。横浜戦の1点目のコントロールからシュートまでの速さ。2点目の全身のパワーをボールに伝えるヘディングシュート。ストライカーの引き出しを多く持っているレオ・セアラもまだまだゴールを増やしそうだ。

そして、4月は4ゴールで、ジャーメインやレオ・セアラに数字では及ばないが、インパクトが絶大すぎるし、4月のJ1を語るうえで避けて通ることはできないほどの活躍を見せた福岡のイラン人フォワード、シャハブ・ザヘディを、もう一人のフォワード、そして今月のMVPに。

前線での圧倒的な存在感。ヘディングシュートの迫力。ボックス内での落ち着き。シュートのタイミング。などと言っている間に、5月もいきなりとんでもないゴールを決めてしまった! 契約期間は6月30日までと聞いた。まさに、今見なきゃ損なフォワード、シャハブ・ザヘディ。とにかく凄い!

取材・文●平畠啓史

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