議員報酬は低い!政治家を目指しやすくすべき真の理由は?~政治家の皆さんに聞いた「#議員報酬は高いか低いか」~③

選挙ドットコムはこの度、政治家(現職・元職・新人問わず)の意見を広く市民に伝える機能を拡充するため、毎月のテーマに沿って、選挙ドットコムサイト内「ボネクタブログページ」に投稿された応募ブログを基に、編集部がコラム化する新企画をスタートしました。

2回目となる今回のテーマは、「議員報酬は高いか低いか」!議員の仕事への対価として支払われる「議員報酬」をめぐっては、財源不足のために削減する自治体もあれば、議員のなり手不足改善のために増額する自治体もあるなど、全国で報酬の在り方を見直す動きがあります。さらに、昨今の「政治とカネ」問題で政治への不信感が高まっている中では、市民からも厳しい目が向けられています。しかし、議員報酬は議員活動の元手となり、私たちの生活にとっても欠かせないお金とも言えます。政治家の適切な報酬とは?そして、議員報酬の多寡の裏に潜む根本的な問題とは?政治に携わる現職・元職・新人の皆さんの意見を伺いました。このコラムでは、各ブログの一部分を抜粋していますので、気になるブログは文末のリンクよりぜひ全文をご覧ください。

【関連記事】
議員報酬は高い!けど、減らすとヤバい。その理由は?~政治家の皆さんに聞いた「#議員報酬は高いか低いか」~①
議員報酬は高くない!優秀な人材を集めるために必要なことは?~政治家の皆さんに聞いた「#議員報酬は高いか低いか」~②

今回のテーマ「議員報酬は高いか低いか」?その回答と理由は?

応募があった6件の投稿のうち、質問に対して2択で回答を求めたところ、以下の結果となりました。

今回は「低い」と回答した芦谷英夫(あしたに・ひでお)氏と川松真一朗(かわまつ・しんいちろう)氏のブログを紹介します。

地方政治に没頭できる環境整備を!/芦谷英夫氏の意見

【芦谷氏のブログのトピック】
・カネとイチ勢力が結びつき、政権や選挙を支配した結果が今の日本政治
・有権者に監視されながら、住民と直接関わりながら地方議員の役目は大きい
・地方政治に没頭できる環境整備が必要

元ブログ
議員報酬は低い!芦谷英夫

島根県・浜田市議会議員の芦谷英夫(あしたに・ひでお)氏は「低い」との考えを示します。

議員報酬が低くなるまでに、「かつて議員の数が多い報酬が高いとして、どこの自治体も定数を削減し報酬を下げてきた。その背景にあった市町村合併や行財政改革の流れがそれを加速してきた」経緯があったと言及。「同時に議員に対し注がれた住民の厳しい目は、住民とはかけ離れた存在に議員を祭り上げられ、地方の政治や地方自治、地方議員そのものをも否定する流れともなった」とし、「カネが一勢力と結びつき選挙を支配し、政権を支配するところまで至ったのがいまの日本の政治」と憤りを示します。

その上で、「住民と直に接し地域のまちづくりを実践している、地方自治、地方政治こそが、有権者衆人監視の下でそれを担う地方議員に大事な役割が待っている」。そこに「没頭できる環境を整えること」こそ重要だと訴えます。

芦谷氏は、最後に読者にこう問いかけます。「議員の待遇を引き上げ議員が住民監視の下でガラス張りの政治の場で活躍し、住民の期待に応える仕組みをつくることこそがこの国の政治を改革する道ですが、皆さんはどうお考えですか?」

議員報酬は低い!芦谷英夫

情熱とセンスがある人が議員を目指しやすい環境が、街のためになる!/川松真一朗氏の意見

【川松氏のブログのトピック】
ちゃんと仕事をする人にとっては、今の報酬額は低いのではないだろうか
・総合的な政策通として、「議員力」を高めるためには人も資金も必要になる
情熱とセンスがある人が議員を目指しやすい環境整備こそ求められる

元ブログ
#議員報酬は高いか低いか ~議員に必要な資質は、情熱とセンスだ!~川松 真一朗

「議員報酬は高いか低いか」というテーマには私自身幾度となく向き合い、様々な方と多角度な視点で議論をしてきたーーこう語る東京都議会議員の川松真一朗(かわまつ・しんいちろう)氏は、報酬が低いとの立場で投稿を寄せました。

川松氏は議員の仕事は大まかに以下の2つだと紹介。
①既存の事業をチェックして、その必要性を徹底して議論する。
②1歩先、2歩先を進んで、各種の制度設計を提案する。

①も②も民間企業での仕事とも共通する内容ですが、「報酬が低いと考える大きな点は、経済人と政治家の違いだ。仮に、ビジネスマンであれば、その日々の努力は営業成績や給与などに反映されるが、議員報酬は誰も一律(そのため、頑張る人も、そうでない人も同じ報酬額)」であることを理由に挙げます。

仕事に取り組めば取り組むほど経費も人手もかかることから、議員報酬だけでは足りず、政務活動費や政治資金パーティーの収入、支援者からの寄付で賄う必要に迫られるといい、「議員活動の中身も定型が無いので他種多様」な中で「ちゃんとした仕事をする人にとっては、今の報酬額は低いのではないだろうか」と問題提起しています。

こうした人材の確保や経済面の不安定さが議員になることへのハードルを高くしているのが実情になっている中で、川松氏は「本来であれば、議員を評価する指数があって、それぞれに最適な報酬額が支払われるのが良いのだろうが、そういう仕組みにはなっていない」と制度上の不備もある点を指摘し、「議員としてはポテンシャルが高いものの、資金面で厳しいという人材がいた場合、しっかり救えるセーフティネットを考えていく必要があるのではないだろうか」と提言します。

そして、「議員の政策発想力はセンスが問われるもので、どんなに政策調査や政策会議に多くの時間をかければいいというものでもないので、個人的にはセンスある者が議会に集まって欲しい。そうなると、議員報酬の多寡関係なく、その地域や人のために汗水流すという魅力溢れるセンスある人物が集まるように、議員を取り巻く環境をどう整備していくかを考えなくてならない」との持論も展開します。

議員はセンスと情熱と言い切る背景には、「多くの皆さんの為、街の為、お役に立てる『真の政治家』を目指そうとする素質ある者が、現実的に考え、政治とは違う道を選択するのは勿体ないし、巡りめぐって、その街にとって不幸になってしまうのだから 」と締めくくりました。

川松氏のブログでは他に、議員のネガティブ報道ばかりが流れることによる市民側の不利益について、積極的なSNS発信の陰で抱える苦悩について、などへの考察なども綴られています。

#議員報酬は高いか低いか ~議員に必要な資質は、情熱とセンスだ!~川松 真一朗

今回紹介したブログと投稿者の個人ページはこちら

議員報酬は低い!芦谷 英夫

#議員報酬は高いか低いか ~議員に必要な資質は、情熱とセンスだ!~川松 真一朗

編集後記

募集期間が年度末の繁忙期に重なった中で投稿してくださった皆様には厚く御礼申し上げます。今回の「議員報酬は高いか低いか」というテーマに対して、いずれの投稿からも報酬の多寡を超えた根本的な問題提起をしていただきました。報酬について判断するためにはその仕事の内容・量・質を知る必要がありますが、私たちは議員の仕事というものを理解しているでしょうか?どれだけの時間を政策に費やしているか想像できるでしょうか?質を図るための物差しを持っているでしょうか?今回の企画では読者が考えるための多くの素材を提供していただいたと思っていますので、ぜひご一読ください。あなたにとって、議員報酬は「高いか低いか」、どう考えますか?(選挙ドットコム編集部・伊藤由佳莉)

政治家限定!
\選挙の最新情報をLINEで配信中/

友だち追加

© 選挙ドットコム株式会社