こどものためのバレエ劇場 2024 人魚姫 ~ある少女の物語~ 公開リハーサル@新国立劇場

こどものためのバレエ劇場 2024人魚姫~ある少女の物語~が新国立劇場にて7月に上演される。

次世代を担う子どもたちが、優れたバレエ芸術に触れられる機会を提供する目的で、2009年より「新国立劇場 こどものためのバレエ劇場」が実施されてきたが、2024年の夏は、誰もが知るアンデルセン童話の「人魚姫」をモチーフにした新作バレエ、世界初演。
演出・振付を手掛けるのは2022年まで新国立劇場に22年間ダンサーとして在籍した貝川鐵夫。バレエ団の中から振付家を育てるプロジェクト「NBJ Choreographic Group」に発足当初から参加し、いくつもの作品を発表。21年新国立劇場<子どもたちとアンドロイドが創る新しいオペラ>『Super Angels スーパーエンジェル』でも振付を担い、振付家として意欲的に活動。 クリエイティブスタッフには新国立劇場でも数多くの作品の美術を手掛けてきた川口直次、貝川と協働を重ねてきた衣裳デザイナーの植田和子が加わり、新たな人魚姫の世界を創り上げていく。

人間の世界に憧れた人魚姫が海の外で出会うのは、恋の喜び、悲しみ、そして…… この世の不条理に触れた人魚姫の切ないラブストーリーを、新国立劇場バレエ団から誕生するオリジナルバレエとして上演する。

某日、新国立劇場にて公開リハーサルが行われた。吉田都舞踊芸術監督の挨拶の後、リハーサル。公開されたのは「人魚姫のソロ」と「人魚姫と王子のパ・ド・ドゥ」。

まず最初に「人魚姫のソロ」

海底にいる人魚姫(柴山紗帆)は王子を忘れることができない。そして地上にいく決意をする。地上は憧れ、そして愛しい王子がいる場所。手を伸ばし、見上げる振付。一回通して行い、それから貝川鐵夫がアドバイス。地上への強い想い、そこにはきっと希望がある、という意味においての「手を伸ばす」それから再び最初から。心の動くままに、そして希望の光に手を伸ばすようなエモーショナルな動きのシーンに仕上がった。

それから「人魚姫と王子のパ・ド・ドゥ」。

中島瑞生が人魚姫に一目惚れさせる王子を演じるが、爽やかで気品や優しさを感じさせる。貝川鐵夫がさらにより世界観を感じさせるように流れや動きが止まらないように自ら踊って手本を見せる。お互いの優しさや愛を表現、その過程を見せていく。再び同じ場面を通し、そこでより流麗に、そして2人の心がエモーショナルに、また王子役の中島瑞生が人魚姫役の柴山紗帆をリフトするシーンはある光も感じさせる。人魚姫は海から地上に来たばかり、見るもの全てが煌めいて見えるはずであり、王子もいる。また王子は人魚姫に心惹かれていく、その気持ちも垣間見えるリフト。ドラマチックかつ若さを感じるパ・ド・ドゥ。

「こどものためのバレエ」と銘打っているこの公演だが、会見では貝川鐵夫から「全ての世代が楽しめるバレエ」であることを強調。また、「感じるまま、自由な発想で」とメッセージ。物語のオチは言うまでもなく、「王子と結婚できなければ死んでしまう」運命に。そして「物語のあらゆる多様性」と貝川鐵夫。アンデルセンが描く世界は奥が深い。また人魚姫は好奇心旺盛なキャラクター、だから地上に憧れ、行動力もある。「何かを感じてもらえる舞台にしたい」と柴山紗帆。王子役の中島瑞生は「音楽と呼吸を純粋に楽しんでください」と語り、「王子ならではの気品を持ちつつ、成長するようにしたい」とコメント。また、中島瑞生は新国立劇場バレエ団ファーストアーティスト。柴山紗帆は21年ファースト・ソリスト、23年プリンシパルに昇格。

貝川鐵夫は最後に「難しく考えないでまずは劇場へ」とPR。柴山紗帆は「(中島瑞生と)一緒に踊るのを楽しみにしています」とコメント。

吉田都舞踊芸術監督よりメッセージ
2024年夏、「こどものためのバレエ劇場『人魚姫』 」を世界初演いたします。
今回の企画は新国立劇場バレエ団から振付家を育てるため、デヴィッド・ビントレー元舞踊芸術監督の発案・監修のもとに発足したプロジェクト「NBJ Choreographic Group」において、「全幕バレエを」という構想からスタートいたしました。2021 年に“物語バレエ”をテーマに作品を募集し、貝川さんの『人魚姫』を「こどものためのバレエ劇場」の新作として膨らませることとなりました。
童話として親しまれている『人魚姫』をバレエにすることで、お子様やバレエにあまり馴染みのない大人の方がバレエを楽しまれ、身近に感じてくださることを期待しております。
バレエは言葉を発しないため、子どもたちの受け止め方は無限で、さまざまな想像をかき立てられることでしょう。「子どもたちの想像力・創造力を豊かにしたい」。貝川さんや私が「こどものためのバレエ劇場」へ向けて持つ思いです。新国立劇場、そして「こどものためのバレエ劇場」がお子様たちの未来を育む場になるよう、努めてまいります。

ものがたり
嵐の夜、人魚姫は海で溺れていた王子を助けます。人魚姫は王子に憧れ、魔女の魔法で人間となりました。
再び出会った二人は互いに惹かれあいますが、王子には既に決められた婚約者がいたのです…。

概要
日程会場:2024年7月27日~30日 新国立劇場 オペラパレス
振付:貝川鐵夫 音楽:C.ドビュッシー/J.マスネ ほか
美術:川口直次 衣裳:植田和子 照明:川口雅弘 音響:仲田竜太
主催:公益財団法人新国立劇場運営財団、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁
制作:新国立劇場
委託:令和6年度日本博2.0事業(委託型)

主要キャスト:https://www.nntt.jac.go.jp/ballet-dance/news/detail/77_027406.html
公式サイト:https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/littlemermaid/

公開リハーサル撮影:阿部章仁

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