バークシャー株主総会から見る、バフェット氏の今後の戦略は?

●バークシャー社が株主総会 米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイが、5月4日に株主総会を開いた。

現金保有の残高は、昨年末の記録を更新し、過去最高となった。保険事業も好調で、営業利益も拡大している。

バフェット氏は「良い球が来た時しかバットを振らない」と述べており、新規投資機会に乏しいことを伺わせた。

大型投資案件が少なく、バフェット氏がリスクオフに向かうということは、相場全体も活気がないということだろうか?

●株主総会でのバフェット氏の発言 株主総会でバフェット氏は、日本の5大商社に投資していることについては「圧倒的な説得力があった」と、その成長性を評価して投資したとしている。

2024年1-3月期には、米アップル社の株式を約13%売却したことも発表された。

バフェット氏は、売却益の税金が引き上げられることを警戒しての売却と釈明し、アップル社への「評価は変わっていない」と説明した。

一方、テレビ番組・映画の製作・配給会社であるパラマウント社の株については、すべて売却したと明らかにした。2022年5月に26億ドルの出資をしたが、「かなりの損失がでた」と明かし、投資を決めたのはバフェット氏自らと認めている。

93歳であるバフェット氏は、後継体制についても準備が整っていると表明した。

後継に指名したのは、グレッグ・アベル氏だ。アベル氏は、バフェット氏が「今日のバークシャーの立役者」と称賛し、昨年11月に死去した盟友チャーリー・マンガー氏の後に副会長を務めている。

●注目される今後の動き バフェット氏は、「私は元気だ」と語り、引退する計画がないことも示唆している。

投資意欲に衰えを見せないながらも、現状は高止まりする金利、インフレについての警戒感が強いと思われる。言及はなかったが、11月の大統領選挙の結果も意識しているのかもしれない。

バークシャーは2023年から自社株買いもしており、24年から加速している。保険事業も好調で、当面は自社株買いと保険事業がバークシャーのメインとなりそうだ。

バフェット氏が“バットを振る”時は、まだ先なのかもしれない。

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