「典型的な、順位が浮上しないチームの試合」鳥栖の川井監督は19位に沈む現状を打破できるか「バランスを見極めるのが僕の仕事」

5月6日、サガン鳥栖はJ1第12節で湘南ベルマーレと敵地で対戦し、1-2で敗れた。

鳥栖は13分に手塚康平の右CKに富樫敬真が頭で合わせて先制。今季のアウェー初勝利に向け、上々の立ち上がりだったが、25分に追いつかれると、後半開始直後の46分に逆転を許した。

黒星を喫したとはいえ、収穫がなかったわけではないはずだ。相手がハイプレスをかけてきた際には、GKの朴一圭もビルドアップに関わり、数的優位の局面を作ってボールを前に運ぶ。セットプレーでも、手塚や河原創の上質なキックを活かして複数の好機を演出し、実際に得点も生まれた。内容面では、一定の成果を出せたと言えるだろう。

実際、川井健太監督も手応えを得られる部分もあったと語る。

「選手たちは厳しい連戦のなかでファイトしてくれたし、次につながるものも見えました。特に今日の前半は、我々が狙いとする部分を出せた。クロスも、意図的に狙いたいスペースを空けて、そこにボールを送るという点が良かったかなと。ただ、後半はクオリティが落ちてしまったので、何が原因かを次節までにしっかりと分析したいと思います」

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ただ、内容面は悪くないからこそ、指揮官は結果が出ない現状を憂いている。

「今日は典型的な、順位が浮上しないチームの試合。よく皆さんがおっしゃる、中身は良いけど結果が出ないチームの試合でした。僕らがこういったゲームになった原因を突き止めなければいけません。戦っている選手が一番悔しいので、今後、またどういう風に彼らをたぎらせるかというところにフォーカスしてやっていきたいです」

現在19位と低迷する鳥栖。第2節の北海道コンサドーレ札幌戦(4-0)、第9節の鹿島アントラーズ戦(4-2)と、チャンスをモノにできている試合は大量得点での勝利を収めたが、複数のゴールを奪えなかったゲームは、いずれも勝点1以下に留まっている(2分8敗)。ボックス内でのクオリティ不足に悩まされている状況だ。

苦しい現状を、どう打破するのか。川井監督の考えはこうだ。

「現状は間違いなく良くないです。内容は良い部分もあるからこそ、選手たちはストレスを抱えていると思う。でも、こういう時こそやり続けることも大事ですし、逆に変化が必要な部分もある。そのバランスを見極めるのが大切ですし、僕の仕事でもあるので、改善していければ」

5月11日に行なわれる次節のジュビロ磐田戦へ向け、すでに見えている課題の解決を進めつつ、湘南戦で得た手応えをつなげられるか。指揮官の采配が鍵を握るだろう。

取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

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