「ねんきん定期便」に載っている給与額が少ない気がします。訂正しないと年金額も減ってしまうのでしょうか?

ねんきん定期便の記載内容

ねんきん定期便は、毎年の誕生月に国民年金および厚生年金保険の加入者に対して、はがきや封書で送られてきます。年齢区分別に図表1の内容が記載されており、これまでの加入実績に応じた年金額、年金の種類と見込額などを確認できます。

【図表1】

※日本年金機構「大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています」より筆者作成

これまでの加入実績に応じた年金額、年金の種類と見込額は、あくまでもねんきん定期便作成時点における金額です。厚生年金の被保険者になるなど、加入する年金に変更があれば、同様に年金額も変わります。

ねんきん定期便に載っている給与額が少ない理由

日本年金機構ホームページの年金Q&Aに「ねんきん定期便に表示されている標準報酬月額が、私が保存している給料明細の支払額と違っているのですが、どうしてですか」という質問があります。それに対し、「標準報酬月額は、実際に支払われている報酬の金額と異なる場合があります」と回答しています。

なお、事業所からもらう基本給に各種手当(役付手当、通勤手当、残業手当など)を加えた1ヶ月の総支給が「報酬月額」です。報酬月額は1等級(8万8000円)から32等級(65万円)までに分類されており、その等級別の金額が「標準報酬月額」に該当します。

標準報酬月額の決まり方

標準報酬月額は、毎年7月1日時点で在籍する事業所にて、4月から6月までの3ヶ月間の給料を3で割って算出した額を標準報酬月額等級区分に当てはめて、標準報酬月額が決まります。これを定時決定といい、決定した標準報酬月額は当年度の9月から翌年の8月までの標準報酬月額となります。

なお、4月から6月までの3ヶ月間の各月で17日以上の報酬支払基礎日数がない場合は定時決定が行われません。

ねんきん定期便の漏れを修正しないとどうなる?

ねんきん定期便の記載内容の漏れや誤りをそのままにしていた場合は、将来の老齢年金額が減る、障害年金の金額や保険料納付済期間に影響をおよぼすリスクが高いです。

漏れや誤りを修正したい場合は、日本年金機構のホームページやねんきんネットにアクセスして、年金加入記録回答票をダウンロードしましょう。年金加入記録回答票に必要事項を記入して郵送または年金事務所に直接提出してください。なお、35歳、45歳、59歳時に送られてくる封書のねんきん定期便には、年金加入記録回答票と返信用封筒が同封されています。

ねんきん定期便に載っている給与額について理解しておこう

ねんきん定期便に載っている標準報酬月額は、実際に支払われている給与の金額と異なる場合がある旨を日本年金機構の公式でも伝えています。標準報酬月額は、定時決定によって、毎年7月1日時点で在籍する事業所にて、4月から6月までの3ヶ月間の給料を3で割った額を基に決まることを認識しておくとよいでしょう。

また、ねんきん定期便の記載内容に漏れや誤りがある場合、修正の手続きが可能です。修正しない場合は、将来の老齢年金額が減る、障害年金の金額や保険料納付済期間に影響が出る場合があるので、速やかに手続きを行いましょう。

出典

日本年金機構 大切なお知らせ、「ねんきん定期便」をお届けしています
日本年金機構 Q.標準報酬月額は、いつどのように決まるのですか。
日本年金機構 Q.「ねんきん定期便」に表示されている標準報酬月額が、私が保存している給料明細の支払額と違っているのですが、どうしてですか。
日本年金機構 年金加入記録に「もれ」や「誤り」があった場合

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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