「iPadがマルチカム制作スタジオに」Final Cut Pro 2発表。最大4台のカメラを制御

by 山崎健太郎

Mac用「Final Cut Pro 10.8」とiPad用「Final Cut Pro 2」

アップルは7日、iPad用「Final Cut Pro 2」を発表した。「iPadをライブマルチカムを備えたマルチカム制作スタジオに変身させる」というもので、最大4台のカメラを接続してプレビューが可能になる。今春後半より、既存ユーザーには無料アップデートとして提供。新規ユーザーはApp Storeで月々700円、または年間7,000円のサブスクリプションとして提供する。1カ月間の無料トライアルも用意する。

新しい入力デバイスであるApple Pencil Proを使うことでより多くの機能が使えるほか、M4チップを搭載した新しいiPad Proと組み合わせる事で、最終的なレンダリングは最大2倍高速化。「M1の場合と比較して最大4倍多いProRes RAWのストリームをサポートできる」という。

ユーザーが自身のデバイスで作業する場合でも、ほかの人と共同作業する場合でも、1つのシーンを最大4つの異なるアングルから撮影できる新しいソリューション「ライブマルチカム」機能を搭載した。

これは、ビデオ撮影アプリ「Final Cut Camera」とワイヤレスで連携して実現するもので、Final Cut Cameraをインストールした最大4台のiPhone、またはiPadデバイスを活用。リアルタイムで各カメラのディレクターズビューを、Final Cut Pro 2から確認でき、設定の調整も可能。露出、フォーカス、ズームなどを制御できる。

Final Cut Cameraアプリは、「iPhoneとiPadで高い精度でマニュアルコントロールを使用してプロ仕様のビデオを撮影するための、単体のビデオ撮影アプリ」としており、このアプリ単体でも使用可。なお、ダウンロードは無料。

ビデオ撮影アプリ「Final Cut Camera」

Final Cut Pro 2は外部プロジェクトに対応。外部ストレージデバイス上でプロジェクトを簡単に作成したり、開いたりでき、「iPadの容量を使用せずにメディアを読み込むことができる」という。

Apple Pencil Proと組み合わせると、ライブ描画がバレルロールに対応し、ユーザーは選択したツールをさらに正確にコントロールできるという。

Mac用では「Final Cut Pro 10.8」を展開する。AppleシリコンのNeural Engineを活用し、新しいAI機能と管理ツールを追加。「Enhance Light and Color」が導入され、色、カラーバランス、コントラスト、明るさを1つの簡単なステップで改善できるという。

Logic Proも進化

Mac用の「Logic Pro 11」とiPad用の「Logic Pro 2」

iPad用の「Logic Pro 2」と、Mac用の「Logic Pro 11」も発表された。Logic Pro 2は5月13日より、既存ユーザーには無料アップデートとして提供され、新規ユーザーはApp Storeで月々700円または年間7,000円のサブスクリプションとして提供する。

Logic Pro 11は5月13日より、既存ユーザーには無料アップデートとして、新規ユーザーにはMac App Storeを通じて30,000円で提供する。

新機能の「Session Players」を使うと、フィードバックに直接反応するAIを活用したパーソナルなバックバンドが利用可能になる。

音楽生成機能のDrummerが大幅に進化。新たなバーチャルプレイヤーであるBass PlayerとKeyboard Playerが追加される。

Bass Playerは、AIやサンプリングテクノロジーを活用し、「現代で最高のベース奏者たちとのコラボレーションを通じてトレーニングされた」という機能。ユーザーは8種類の異なるBass Playerから選び、スライド、ミュート、デッドノート、ピックアップヒットの高度なパラメータを活用しながら、複雑さや強さをコントロールしてBass Playerの演奏をリードできる。

Bass Playerはコード進行に沿って即興演奏を行なえるほか、100種類のBass Playerループから選択して、新たなインスピレーションを引き出すことも可能。

Keyboard Playerは、スタジオミュージシャンの協力によってデザインされ、多様な音楽のジャンルに合うように作られた4種類の異なるスタイルを選択可能。「シンプルなブロックコードから拡張ハーモニーによるコードボイシングまで、ほぼ無限のバリエーションを持ち、あらゆる演奏が可能」とのこと。

音楽データを解析する事で、「ミックスされたオーディオ録音のほぼすべてを、ドラム、ベース、ボーカル、その他の音源という4つのパートに分けられる」というStem Splitte機能も用意。分割したトラックにエフェクトを適用したり、新しいパートを重ねたり、ミックスを変える事も可能。

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