宇奈月の豪農建築再生 黒部市、活用策を調査 カフェや交流の場探る

黒部市が再生調査に乗りだす豪農建築の古民家=同市宇奈月町明日

 黒部市は今年度、農村文化伝承館として利用している宇奈月の古民家「山本家」活用に向けた再生調査に乗りだす。緑豊かな敷地の中、江戸後期の豪農建築様式をとどめた貴重な旧家で、カフェや交流拠点としてリニューアルする可能性を探る。地域の観光資源としての魅力を高め、交流人口拡大も見据える。

 市によると、宇奈月町の山本家は約240年前に建築されたと推定され、母屋と前納屋門からなる。先祖は村の肝煎(きもい)りや総代、地主頭などを務め、寺子屋としても家を開放していたと伝わる。改築した形跡がなく、当時の生活や建築、文化を知る上でも重要な建物で、1988年に旧宇奈月町に寄贈され、見学に加え、宿泊利用も可能になった。

 ただ、老朽化が著しく、傷みも目立っており、市単独での大規模修繕が予算的に厳しい中、全国で古民家活用を手掛ける民間事業者の協力を得て、地域再生ビジネスの観点から対象となりうるかどうかを調べる。

 山本家のある愛本地区では、22年度に富山県中山間地域話し合い促進事業で「愛本の将来を考える会」を重ね、同家の利活用を含む地区発展に向けたアクションプランを策定した。実現に動く愛本アクションプラン(AAP)実行委員会も組織している。

 市では再生可能性調査でゴーサインが出れば、AAP実行委と連携して積極的な活用を図っていく方針。市地域協働課の担当者は民間事業者による全国的な成功事例を踏まえ、「地域の財産に新たな光を当て、地域にお金が落ちる仕組みを構築する展望を開くことができればいい」と話した。

高台にある門も重厚なつくりとなっている

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