日向坂46 藤嶌果歩、石塚瑶季、正源司陽子……初冠番組で明らかになった四期生の歌唱力

日向坂46の四期生による初の単独冠TV番組『日向坂ミュージックパレード』(日本テレビ系)が、4月30日よりスタートした。すでに昨年8月からは小西夏菜実、正源司陽子、平尾帆夏、渡辺莉奈が出演している『日向坂アニメ部』(カンテレ・フジテレビ系)が放送されているが、四期生全員が出演する冠番組はこれまでなかった。加入から1年半にして、ようやく四期生の11人が外向けに魅力を発信できる機会が増えたことは喜ばしい。

『日向坂ミュージックパレード』は、「アニメフェスのお客さんに聞いたアニソンランキング」や「アイドル好き芸人が選ぶ最強アイドルソングランキング」などかなり限定的なランキングを紹介し、それに沿うかたちで四期生メンバーが歌唱する“新感覚音楽バラエティ”。MCは3時のヒロインが担当しており、音ネタやリズムゲームにも挑戦していくという内容。すでに冠番組『日向坂で会いましょう』(テレビ東京系)でメキメキとバラエティ力を身につけている四期生にとって、その経験を発揮できるいい機会と言えるだろう。

この『日向坂ミュージックパレード』は、その内容からも乃木坂46の4期生が「昭和歌謡」「平成の名曲」のカバーに挑戦した『乃木坂スター誕生!』、5期生初の冠番組『新・乃木坂スター誕生!』、『超・乃木坂スター誕生!』(いずれも日本テレビ系)と同様のコンテンツに位置づけられるだろう。『乃木坂スター誕生!』ではメンバーの歌唱力やダンスの魅力が再発見されたり、メンバー自身のトーク力が鍛えられたりと、加入からまもない新期生たちの魅力を発見するコンテンツとして非常に有意義なものとなっており、乃木坂46の事例からみてもこれらの番組を通して、外仕事につながるケースも少なくない。

日向坂46の四期生は加入から1年半とはいえ、これまで四期生のポテンシャルを測れる場としては、ライブやMV、ラジオといったものに限られていた。特に一人ひとりの歌声にスポットが当たる機会はそうそうなく、『日向坂ミュージックパレード』が彼女たちの歌唱力を発揮できる場となる。

第1回の放送では正源司、石塚瑶季、竹内希来里、渡辺が「SNS人気楽曲ランキングTO10」(通信カラオケDAM調べ)にランクインしている有華の「Baby you」を歌唱。SNSでは数多くの「歌ってみた」が投稿されていることでも知られている同楽曲は、キャッチーなメロディとあって音程が比較的取りやすい楽曲で、4人は息のあった歌声を聞かせた。

中でも著者の印象に残ったのが正源司と石塚だ。石塚のキュートな歌声は楽曲の世界観とも合っており、思わず聴き入ってしまうような不思議な力を持っていた。10thシングル『Am I ready?』に収録されている個人PV『瑶季!魂!~輝く未来へ~』では野球の応援歌風の楽曲を歌っていたが、その笑顔は多くのおひさま(日向坂46ファンの呼称)を虜にしている。日向坂46らしい弾けるような笑顔が声色にも表れており、唯一無二のボーカルを届けていた。正源司は、「おもてなし会」での力強いメッセージも印象的だったが、11thシングル『君はハニーデュー』でも表題曲センターに立った経験からか、とても堂々とした歌唱を披露。彼女そのものの純粋さもあるが、まっすぐで透明感のある声質は惹きつけられるような魅力があった。

藤嶌果歩はConton Candyの「ファジーネーブル」をテレビ初のソロで歌唱。メンバーからも満場一致で“歌姫”と称される藤嶌は、低音域から高音域まで歌いこなすボーカルレンジの広さはもちろん、楽曲の世界観を表現する力を持ち合わせており、歌い出しから最後に至るまでずっと聴いていたいと思わせる心地よさがあるように感じた。10thシングル『Am I ready?』に収録されている四期生曲「見たことない魔物」でもセンターを務め、Aメロのソロパートで伸びやかな歌声を披露していたが、まさかここまでのポテンシャルを持っていたとは誰も思っていなかったはずだ。3時のヒロインの福田麻貴からは「ソロとかで歌ってそうなくらい歌唱力」と絶賛されており、四期生のみならず、今後は日向坂46の歌姫として多くの人の心を掴んでいくことだろう。

歌唱パート以外でも、ゲスト出演したAMEMIYAのギター演奏に合わせて、個性あふれる自己紹介を披露するなどバラエティへの適応力の高さを見せていた四期生。今回歌唱した5人のメンバー以外にも、清水理央や小西といったポテンシャルを秘めたメンバーが控えており、今後の放送が楽しみだ。同番組をきっかけに羽ばたいていく彼女たちに期待したい。

(文=川崎龍也)

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