新規設定ファンドは買っても大丈夫? 良いファンド選びで重要なこと

毎月、結構な本数の投資信託が新規設定されます。どうやって選べば良いのでしょうか。そもそも新規設定される投資信託を買うのはどうなのでしょうか。考えてみました。


4月の新規設定ファンドは18本

新しい資信託がどのようにして生まれるのかを、簡単に説明してみましょう。

まず運用開始日前の数日間で、募集活動が行われます。この間、販売金融機関はさまざまな形で募集活動を行い、お客様から買付注文を集めます。そして、募集期間が終了すると、その翌営業日に設定といって、ファンドの運用がスタートします。

4月15日時点で、投資信託協会が発表している、4月の新規設定ファンドの本数は、全部で18本です。このなかには、昨年、セゾン投信会長を辞めた中野晴啓氏が立ち上げた、なかのアセットマネジメントが設定・運用するアクティブファンドも2本、含まれています。

さて、このようにして新規設定ファンドが誕生するわけですが、皆さんは投資信託を購入する時、どういう点に注意しますか。

まずコストです。インデックスファンドは昔に比べると大分、信託報酬率が下がってきました。もちろん、最終的には信託報酬に諸々の諸経費を加算した総経費率を見る必要はあるものの、それこそ20年前に比べれば、信託報酬率を10分の1程度まで引き下げたインデックスファンドが増えてきました。

一方、アクティブファンドはインデックスファンドに比べると高めの信託報酬率ですが、それでもかつてに比べれば多少、料率は低めになっています。

良いアクティブファンドの条件は?

コストと共に、ファンド選びで重要なのが過去の運用成績です。ただ、これについてはインデックスファンドとアクティブファンドとでは、重要度は相当違うと考えるべきでしょう。

インデックスファンドの場合、連動対象となる指数があり、それに対して高い連動率を維持できるポートフォリオを構築して運用されます。もちろん多少のトラッキングエラーは生じますが、基本的には連動対象である指数に近い値動きをしますし、運用会社が違ったとしても、連動対象の指数が同じであれば、運用成績に大きな差は生じません。したがってインデックスファンドならば、新規設定の段階で購入したとしても、特に問題はないと考えて良いでしょう。

ただ、問題はアクティブファンドの場合です。

アクティブファンドは、特定の指数をベンチマークとし、それを上回るリターンの実現を目指して運用される投資信託、と解釈しておけば良いでしょう。もちろん、なかには「絶対リターン追及型」といって、特定の指数をベンチマークとせず、リターンを積み上げていくことに存在意義を持たせるタイプもありますが、多くのアクティブファンドはベンチマーク対比で、運用成績の良し悪しを判断します。

つまり、一定期間の運用成績を見る時、ベンチマークを上回るリターンを維持できているかどうかが、良いアクティブファンドか、そうでないかの分かれ目になるのです。

新規設定のアクティブファンドを買ってはいけない

では、その判断はどうやって付ければ良いのでしょうか。過去の運用成績は、あくまでも過去のマーケット環境によって出されたものですから、将来の運用成績を保証するものではありません。

でも、過去において常時、ベンチマークに負け続けているアクティブファンドが、今後、ベンチマークを上回る運用成績になるかというと、そこはやはり疑問です。過去の運用成績は、将来の運用成績を保証するものではありませんが、参考値のひとつにはなります。

すでに、何が言いたいのか、理解できた読者の方もいらっしゃると思います。そう、アクティブファンドを購入する際には、過去の運用成績の検証が重要であるにも関わらず、新規設定ファンドにはそれがないのです。つまり新規設定のアクティブファンドを買うということは、最も重要な判断材料のひとつをまったく見ないまま、自分の大事なお金の運用先を決めるのと同じことなのです。

本来、アクティブファンドを運用するのであれば、まず運用会社が1億円程度の自己資金を入れ、それを数年間運用して結果を出したうえで、公募で販売するかどうかを決めるべきでしょう。あるいはスポンサーになってくれる機関投資家から資金を集めても良いかも知れません。

少なくとも個人に対して、公募でアクティブファンドを販売するのであれば、その前段階として自己資金、あるいはプロ投資家からの資金を集めて運用し、数年間の実績を出してからにするべきなのです。

現時点で、アクティブファンドはかなりの本数が運用されていますし、なかには長期にわたって、非常に高い運用成績を維持しているものもあります。そうであることを考えれば、何も今、新しく設定されるアクティブファンドを購入する必要性など、どこにもないと思います。

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