惣菜(中食)・米飯市場に関する調査を実施(2024年) 2023年度における、日配惣菜・米飯市場は9兆9,400億円の前年度比102.5%、加工惣菜・米飯市場は1兆1,594億円の前年度比102.7%の見込

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の惣菜(中食)・米飯市場を調査し、商品セグメント・販売チャネル別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

1.市場概況

2023年度における加工惣菜・米飯市場は、小売金額ベースで1 兆1,594 億円(前年度比102.7%)、日配惣菜・米飯市場は小売金額ベースで9兆9,400 億円(前年度比102.5%)と予測する。

単身・共働き世帯の増加等に伴い、惣菜や中食を購入するニーズが高まっている。2019 年10 月に消費税率が10%に引き上げられた際、軽減税率の対象とするため、持ち帰り(テイクアウト)や自宅での飲み会を対象とした中食・惣菜の商品化が相次いだ。2020年度以降は、新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点から、店内での飲食に代わり外食店もテイクアウトに注力した。また、加工米飯に関しては、新型コロナウイルス感染症対策の一環として、各自治体による自宅療養者への無菌包装米飯の配食需要があった。2023年5月以降、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行し、無菌包装米飯の配食等の支援は終了しているが、これまで加工米飯の使用経験がなかった消費者にも、品質や利便性の高さを体験する機会となり、加工惣菜・米飯市場の活況に拍車がかかった。そうした体験をきっかけに、消費者は中食に対して認知や理解を深めることとなった。

2.注目トピック~冷凍弁当・惣菜市場の動向

近年では、利便性や保存性の高さから冷凍弁当に対する需要が高まっている。冷凍食品の保存温度であるマイナス18℃では、微生物が自由に活動できないことから、長期保存が可能となっている。そのため、添加物や濃い味付けなど日持ちを延ばすための工夫は不要となり、美味しさに重きを置いた商品化が可能となっている。また、先述の長期保存の観点から、流通側(小売店)にとっても、賞味期限を気にすることなく店頭に陳列できるなど、食品ロス削減に繋がるメリットが得られている。こうした社会的ニーズの高さや消費者による買い置き需要から、今後需要が高まるとみて、惣菜メーカー各社は冷凍弁当・惣菜の商品化を急いでいる。

3.将来展望

単身・共働き世帯の増加等、生活様式の変化を受け、タイパ(タイムパフォーマンス)重視、調理定年(手作りを控えること)などの言葉が溢れているように、調理時間や手間を考慮して自炊の代わりに中食を利用する等、食の簡便性を積極的に取り入れていく時代となっている。このような生活習慣の変化に合わせて、惣菜(中食)・米飯は生活に深く浸透しつつあり、2030 年度の加工惣菜・米飯市場は小売金額ベースで1 兆3,625 億円(2023年度比117.5%)、日配惣菜・米飯市場は小売金額ベースで11 兆2,606 億円(同比113.3%)を予測する。

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