アパートの隣人から「毎日うるさくて不眠になった」と医療費を請求された…!思い当たらないけど払うべき?

隣人からの苦情への対応

隣人から「生活音がうるさい」などと言われてしまった場合、まずはアパートやマンションの貸主に相談するといいでしょう。

民法601条では「賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる」と定められています。

騒音のトラブルや迷惑行為などによって、アパートやマンションで居住する環境が整っていない場合には、貸主が対応して問題を解決する義務があるということになります。まずは、苦情に対して「いつ」「どのような音なのか」などを確認し、状況を把握してもらいましょう。

自分たちで対応すると、思わぬトラブルに発展するおそれがあるため注意が必要です。

迷惑行為によって医療費を支払う必要はあるのか?

騒音が原因で健康を害した場合には、状況によっては慰謝料や養育費の請求対象となる可能性があるので注意が必要です。

ただし、騒音による慰謝料請求が認められるのは、「迷惑を受けた」とする側の受忍限度を超えている場合と想定されます。迷惑行為として受忍限度を超えるかどうかは、状況を総合的に判断して検討されるため、当事者同士で勝手に決められるものではありません。

もしも夜中の生活音が受忍限度を超えており、隣人が不眠になって健康被害が生じた場合には、精神的苦痛を受けたとして慰謝料を請求されるおそれがあるということです。ただし今回のケースのように、思い当たるふしがない場合には、ほかの部屋の生活音の可能性もありますので、貸主へ相談して状況や証拠を確認してもらいましょう。

隣人トラブルを回避するためのポイント

音に対する許容範囲は人によって異なるため、気を付けていても周囲に迷惑をかけてしまっているケースもあるでしょう。ドアの開け閉めの音やテレビの音、子どもの声や楽器の音など、トラブルに発展するかもしれない音はいくつかあります。

もしも隣人から騒音に関して注意されたら、何かしらの対策を考える必要があります。テレビの音を指摘された場合には、音量を下げる、テレビを見るときには窓を閉める、見る時間帯に注意するなどです。家族に周知することも忘れないようにしましょう。

また、日頃からあいさつを交わすなどして交流しておくことも有効です。小さな子どもがいる、仕事が不規則などの場合には、あらかじめ事情を説明しておくのもいいでしょう。

隣人からの苦情はまず貸主へ相談しよう

今回のように、騒音によって健康被害が生じ医療費を請求された場合、支払う必要があるかどうかは状況によって異なります。受忍限度を超えた騒音による問題が発生した際には、慰謝料を請求される可能性もありますが、判断が難しいところです。

自分たちで対応せず、まずは貸主へ相談しましょう。状況や証拠を確認し、総合的に判断してもらう必要があります。

出典

デジタル庁e-GOV法令検索 明治二十九年法律第八十九号 民法 第六百一条

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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