東京・銀座に「時間制カフェ」登場 1時間990円“飲み放題・ランチ1品無料” 不調なカラオケ業界の新たな挑戦

カラオケ館を展開する「B&V」が、新業態である時間制カフェ「タイム珈琲店」を東京・銀座にオープンした。
1時間990円で、飲み放題や6種類から1品の無料ランチを提供。
専門家は、料金設定の明瞭さと日本食メニューがインバウンド客にとっても魅力的であると評価している。

銀座にうれしい“時間制カフェ”が開店

働く人はもちろん、インバウンド客にも来てほしい時間制カフェとは。

空港のラウンジをイメージした広々とした空間が広がるのは、東京・銀座にオープンした時間制カフェ「タイム珈琲店」。
カラオケ館を展開する「B&V」の新業態だ。

フジテレビ経済部・栁原弥玖記者:
こちら、入ってすぐの無人の受付機で操作します。

入店やメニューの注文、受け取りまでをセルフサービスにすることで、人件費などを削減。

コーヒーやドリンクは飲み放題で、ランチタイム(午前7時~午後1時30分)には、6種類のメニューのうち、1品を無料で提供する。

料金は、60分で990円(延長30分/495円)。
座席にはコンセントを完備し、テレワークの利用も見込んでいる。

B&V・大沼淳常務執行役員:
カラオケ業界が、コロナ禍を過ぎてもなかなか厳しい。ここはオフィス街なので、サラリーマン、インバウンドにも来てほしい。

人手不足やコロナ禍による集客の落ち込みなど、さまざまな課題に直面するカラオケ業界。
B&Vでは、カラオケ事業と共に柱となる事業を模索し、2023年8月にはグランピング施設を開業した。

今回のカフェは、メニューの豊富さやDX(デジタルトランスフォーメーション)化など、これまでにカラオケ事業で培った強みを生かす店作りとなっている。

B&V・大沼淳常務執行役員:
カラオケ1本で来ていたので、このカフェ事業を横展開していって、経営が成り立つようにやっていきたい。

今後は、銀座店を実証店舗として、全国への展開も検討していくという。

銀座にありそうでなかった業態

「Live News α」では、消費経済アナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター: ── 渡辺さん、さっそく時間制カフェを取材されたということですが、いかがでしたか?

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
マーケティングの視点でいうと、こんなのが「あったらいいな」という消費者の欲求、「want」を満たすものとなっているのではないか。実はこれ、私自身が求めていた業態でもある。

堤キャスター: ── その理由は何でしょうか?

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
早朝、仕事の始業前に利用でき、しかもカフェ飲み放題で、早い時間からランチを無料で食べることができる。

それにWi-Fiもあるため、日中から夜にかけての“スキマ時間”に、仕事ができるスペースとして活用できる。

さらに、私自身は喫煙者ではないが、タバコが吸えるスペースの“ある・なし”は、喫煙者にとっては、お店選びのポイントでもある。

今回のタイム珈琲店には、加熱式と紙タバコのスペースが地下1階に70席あり、喫煙者の居場所ともなりそうだ。

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
今回の昼・夜フリータイムの2200円の一律プランは、インバウンド客にもわかりやすい価格設定で、きつねうどんなどの日本食メニューが食べられるのも歓迎されるように思う。

銀座での新しい時間の過ごし方として、インバウンド客に人気となっていくかもしれない。

カラオケ市場の縮小が新成長戦略へ

堤キャスター: ── カラオケからの新業態への進出、これについては、いかがですか?

消費経済アナリスト・渡辺広明さん:
2023年のカラオケ市場は3879億円と、コロナ前の7割弱となっている。生活様式の変化もあり、市場の回復が見込めない中、新たな成長を求めた新事業となっている。

深夜・早朝に営業を行う店舗事業では、この時間に働くスタッフに25%以上の割り増し賃金を支払う必要がある。

人件費の削減・人手不足対策がポイントで、今回の試みでは、入退店のチェックと清算に、人手を使わない自動化をはかっている。

夜の23時から5時の“ナイトライフエコノミー”を後押しする業態ともいえるため、夜を通して日本を楽しみたいインバウンド客に支持されるかもしれない。

堤キャスター:
カフェで時間をどう過ごすのか、人それぞれですよね。
家庭でも、会社でもない、自分にとっての第三の場所があるのは、素敵なことだと思います。
(「Live News α」5月7日放送分より)

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