余命1ヶ月の宣告を受けた双子の姉 「子どもにも伝えたい」最期の2人旅を形にした絵本について妹に聞いた

皆さんは「幸せは何か」と考えたことはありますか?人によって幸せと感じるものはさまざまでしょう。

彩さんは、Instagramで@kido.akane.sayakaのアカウントから、双子の姉である茜さんとの2人旅について公開しています。

茜さんは2017年に乳がんを患い、2019年3月に余命1ヶ月の宣告をされました。その後2人は旅に出ることを決意し、双子旅へ。2019年8月に茜さんが亡くなったあと、彩さんは絵本の制作をすることに。そこには双子旅で気づいた、2人の大切な思いが刻まれていました。

今回は、双子旅や制作した絵本について、彩さんに話を聞きました。

茜さんが余命宣告を受け…

仲良しな2人(@kido.akane.sayakaさんより提供)

双子の姉である茜さんががんになったと知ったとき、彩さんはショックを受け「自分に何ができるのか」と考えました。

彩さんにとって、茜さんは「最高の相棒であって私の一部のような存在」だと話します。そんな茜さんが亡くなり、彩さんは「本当につらくて、こんな気持ちで生きるのがしんどすぎて死にたいと何度も思った」と言います。しかし周りの環境と人に恵まれ、多くの方に助けてもらったことから、前を向けるようになったという彩さん。

そして彩さんは、絵本を制作することにしたのです。

2人での旅

茜さんが29歳で余命宣告を受ける(@kido.akane.sayakaさんより提供)

茜さんが余命1ヶ月だとわかったとき、病院で寝ていたらこのまま死に向かってしまうと思った彩さん。これまで散歩に行くと元気になっていた茜さんの姿を思い出し、外に連れ出すことにしました。

そして彩さんは自身が世界を旅していたことから「旅に出て、自然や人との出会いにパワーをもらおう!」と提案したのです。するとそこには、目をキラキラとさせた茜さんの姿がありました。そして、2人は旅に出ることになったのです。

旅に出ることを決意(@kido.akane.sayakaさんより提供)

2人は、ひたすら自然のなかでのびのびと過ごし、美味しいものを食べたり会いたい人に会ったりしました。そこにはたくさんの感動があったといいます。旅の途中では恋愛話、日常の幸せ、死生観、宇宙の話など生きるってなんだ、死ぬってどうなるか、死んだあとはどうしたいか、などさまざまな話をした2人。

彩さんは、旅のすべてが思い出深いものだったと言います。それは、嬉しくて泣いたり、悲しくて笑ったり、感情がチグハグななかでぶつかり合いながらも2人で過ごした日々でした。

絵本で伝えたい思い

茜さんの死後、2人旅で得た気づきや気持ちを絵本にした彩さん。彩さんは絵本について「幸せになりたいと願う人が多い世のなかですが、幸せは気づくことです。幸せとはなにか、目の前にすでにあるものに気づくことができる絵本です」と話しました。

彩さんは、茜さんと過ごすなかで「私たちが当たり前にできていたことが本当に幸せで満たされている」ことに気づいたと言います。それまでは刺激を求めて何度も旅に出ていた彩さんですが、日常が愛おしいことを茜さんとの日々で学びました。そして、この気づきを伝えたいという思いから絵本の制作を進めていきました。

「絵本にしたかったのは、私自身子どもができて子どもにも伝えたいという思いが強くなり、子どもから大人まで広い世代に伝えたいと思ったからです。また、大人と一緒に子どもが読むことで受け取り方の違いを感じ、より愛が深まると考えています」

クラウドファンディングを使い、自費出版で制作した絵本。初めての挑戦で苦労したといいます。

多くの人に伝えたいこと(@kido.akane.sayakaさんより提供)

今後、闘病中の人や支える人、病気ではなくてもストレスや疲れといった何かで壁にぶち当たっている人、日々を退屈だと感じている人など、多くの人に絵本を通して思いを伝えていきたいと言います。彩さんは「この世界はこんなに愛と幸せで満ちています。そこに気づくと気づかないとでは雲泥の差があります」と話しました。

彩さんが制作した絵本には、茜さんとの旅や日常で気づかせてもらったたくさんの思いが詰まっています。そんな2人の思いが、絵本を通じて多くの人に伝わることを茜さんも願っていることでしょう。

ほ・とせなNEWS編集部

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