ALS介護給付請求 吉川市に賠償命じる/埼玉県

 吉川市に住んでいたALS=筋萎縮性側索硬化症の患者の男性が、市が重度訪問介護サービスを1日あたりおよそ13時間とした決定は不当として、24時間態勢の介護給付などを求めた裁判でさいたま地裁は8日、1日あたりおよそ19時間半の給付を決定し、市に対し男性が負担した介護費用の一部などおよそ133万円の賠償を命じる判決を言い渡しました。

 判決などによりますと、2015年にALSと診断された48歳の男性は症状が進行し、ヘルパーによるたんの吸引などが常時必要となりました。

 2019年に男性は、市の重度訪問介護制度を利用して1日24時間態勢の介護を申請しましたが、市は妻による介護が可能などとして、およそ13時間の給付を決定しました。

 また、申請を受けた2019年の調査で、自宅を訪れた市の障がい福祉課の職員が、50音が書かれた文字盤に視線を送る方法で意思表示をした男性に対し「時間稼ぎですか」と発言したとして、男性は市の決定の取り消しと慰謝料を求めていました。

 8日の判決でさいたま地裁の田中秀幸裁判長は、妻にとって介護が過度な負担かどうかの検討を怠っていたと指摘し、1日あたりおよそ19時間半の給付と男性が負担した介護費用などおよそ133万円の賠償を命じました。

 職員の発言については「軽率な執務態度によるものと評価されてもやむを得ない。強度の誹謗中傷的な発言」などとして、慰謝料5万円を支払るよう命じました。

 吉川市の障がい福祉課はテレ玉の取材に対し「市としては判決結果を確認できていないのでコメントは控えます。今後については判決結果を確認して検討していきたい」としています。

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