「焦りがある」湘南FW石井久継が全体練習後に1人で自主トレ「このままだとメンバーにも入れなくなってしまう」

5月8日、湘南ベルマーレの公開練習が行なわれた。

2日前のJ1第12節・サガン鳥栖戦(2-1)に先発した選手は約1時間、ベンチスタートやメンバー外だった選手は約2時間のメニューを消化して練習場を後にしたなかで、ピッチに残り、ボールを蹴り続けた選手がいた。今季、湘南U-18からトップチームに昇格した石井久継だ。

石井は自らマーカーコーンを置き、ドリブル練習を開始。20分ほど続けたあと、次は身体の様々な部位を使ったリフティング。40~50分ほど汗を流し、他の選手に遅れてピッチを去った。

高卒1年目ながら、ここまでリーグ戦に7試合出場と存在感を高める77番は、なぜ自主トレーニングをしたのか。練習終了後、石井が理由を明かしてくれた。

「焦りがある。もっとやらないと。自分は(7節の)広島戦で手応えを得てから、変化がない。他のみんなの調子が良いので、このままだとメンバーにも入れなくなってしまうし、勝利に貢献できません。何か変えないといけない、という思いです。鳥栖戦も、勝ったのはすごく嬉しかったけど、個人としては悔しさの方が強かった」

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石井の主戦場は、2トップの一角やサイドボランチ(インサイドハーフ)、サイドハーフだ。ポジションを争う福田翔生は現在、公式戦4試合連続ゴール中と絶好調で、阿部浩之も鳥栖戦で今季初ゴールを記録。離脱していたルキアンや鈴木章斗も、この日の練習に合流し、さらなる競争激化が予想されるなか、「このままではいけない」という思いが強まったのだろう。

石井は、コーンドリブルやリフティングなど、基礎的なトレーニングを行なった理由を次のように語る。

「昔(小学生時代)はもっと上手かったので、練習すれば取り戻せるかなと。点を取りたい想いが強いので、自分の長所をさらに磨きたいんです。コーンドリブルとかリフティングは、プロの世界ではあまり必要とされていないかもしれませんが、自分はそれをやって成長してきたので、改めて原点に立ち返ってやっています」

自主練習の動機が焦燥感だったとしても、このトレーニングで成長し、試合で結果を残せば、徐々に余裕が生まれてくるはずだ。石井が飛躍を果たし、チームを勝利に導く日を心待ちにしたい。

取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

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