春耕に向け質の高い準備が進む中国の穀倉地帯 黒竜江省

春耕に向け質の高い準備が進む中国の穀倉地帯 黒竜江省

4月25日、黒竜江省林口県奎山(けいざん)鎮安山村で、機械を操作してトウモロコシの種まきをする農機オペレーター。(ドローンから、ハルビン=新華社記者/張濤)

 【新華社ハルビン5月8日】中国黒竜江省に広がる黒土地帯では現在、春の耕作が繁忙期を迎えている。農業従事者は良種の選定や先端技術の利用、優れた農法の模索を通じて、科学的かつ効率的な農作業を推進している。

 畑作物の大規模な種まきが始まり、双鴨山市集賢県の種苗販売会社、黒竜江飛竜種業では種子の販売が終盤にさしかかっている。同社は省を代表する大豆種子生産業者の一つで、大豆種子の販売量は毎年約1万5千トンに上る。

 同省農業農村庁によると、収穫量の向上に優良品種が果たす重要な役割を発揮させるため、省内では優良品種の大規模栽培を行うモデル農地の建設が加速している。

 良種は穀物の高収量、高品質生産を推進する重要な要素の一つであり、農業従事者らは良種を確保した上で新しい技術を相次いで導入し、先端科学技術を用いて農作業を活性化させている。

 穆棱(もくりょう)市馬橋河鎮北盛村では、農業機械オペレーターの朱全双(しゅ・ぜんそう)さんが衛星測位システム「北斗」のナビゲーションを搭載したトラクターを操作して畝立て作業を進めていた。トラクターは対応するパラメーターを入力すると指定したコースで自動運転が可能になる。朱さんは「北斗ナビの導入で種まきや施肥などの作業がより『スマート』になり、農作物の生産量や品質が確実に向上した」と語った。

春耕に向け質の高い準備が進む中国の穀倉地帯 黒竜江省

4月25日、黒竜江省林口県奎山鎮安山村で、機械を操作して田畑を耕す農機オペレーター。(ハルビン=新華社記者/張濤)

 綏芬河(すいふんが)市では、黒キクラゲが生長期を迎えている。地元の食品会社、黒竜江省維多宝食品の劉光学(りゅう・こうがく)副総経理は「デジタル化と農業生産を組み合わせ、モノのインターネット(IoT)技術などを通じて遠隔監視制御を行っており、ハウス内部の気温や湿度、光の強さなどのパラメーターを取得している」と述べ、テクノロジーを活用することで栽培効率が大幅に向上し、品質を十分に確保できるようになったと紹介した。

 より効率的な土地管理モデルの模索と実践も積極的に行われている。省内各地では、広幅畝の密植栽培や灌水と施肥の一体化といった先進的な栽培技術を大々的に推進し、豊作に向けた基礎固めをしている。

 牡丹江市林口県の農家、王興亜(おう・こうあ)さんは今年、自身の土地70ムー(約4.7ヘクタール)の管理を地元企業の同県金豊公社農業サービスに委託した。

 同社責任者の鄭偉(てい・い)さんは、今年管理を請け負っている畑は大豆畑やトウモロコシ畑を含む土地3万ムー(20平方キロ)に上ると紹介し、「大型農機や農業用ドローンなどの先進設備を導入するとともに、科学的で効率的な栽培技術を用いることで、農家の安定的な生産や増産を支援している」と語った。

 虎林市は、省内に拠点を置く農業企業の北大荒農墾集団と提携し、先進栽培技術の実用化を積極的に進めている。同市農業農村局の杜維良(と・いりょう)局長によると、今年は共同建設したモデル園区12カ所で、過酸化水素による水稲の発芽促進や灌水と施肥の精密なコントロール、畑の広幅畝密植栽培などの技術の課題解決に協力して取り組み、単位面積当たりの収穫量向上を目指すという。(記者/劉赫垚、孫暁宇)

© 新華社