【特集】新型コロナ5類移行から1年 暮らしの変化や後遺症の実態は? 岡山・香川

新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが「5類」に引き下げられ、8日で1年です。街や暮らしはどう変わったのか。そして、後遺症の実態は。

(10代男性)
「気持ちが軽くなったというか、遊びやすくなりましたね」

(70代女性)
「帰って普通に手を洗うぐらいで、もう神経をピリピリすることもなくなった」

(50代女性)
「(Q.マスクは着用する?)(ウイルスを)持っていても嫌だし、うつすのも嫌だし、まあもう習慣づいていて。お化粧とかも結構楽になった(笑)」

(40代男性)
「会議とかもリモートでやっていたけどまた戻って、毎月東京に行かないといけないとか。(Q.働きやすさは?)気にしなくてバリバリできるのは今の方がそうなので、いいかなと思います」

街の飲食店は……。

(やきとり鳥新/泉川朗 店主)
「新型コロナ明けてからは正直忙しかった、一気に忙しくなった。新型コロナの時が正直悲惨でしたからね、逆に忙しくなって人手不足。でも人が出てきてくれたのはやっぱりありがたい」

(四季の味 まつ本/松本幸三 店主)
「新型コロナになって生活が変わりましたよね。昔と比べたらお金の使い方とか企業も変わってきた。いろんな面で」

(肉料理とおばんざい 一旦/真室雄司 店主)
「新型コロナ前にだいぶ戻ったとは思います。僕自身もゴルフ始めましたし、自分自身の遊びをみんな見つけたんじゃないかな。(あとは)香川ファイブアローズに渡邊雄太が来てくれたら幸せ」

コロナ禍を経てキッチンカーを始めた居酒屋

キッチンカーの準備をしているのは、居酒屋を経営する北山真太郎さんです。

(居酒屋を経営/北山真太郎 社長)
「キッチンカーをやりだして、お客さんとの距離が近くなったので、これはこれですごく楽しい」

岡山県全域が緊急事態宣言の対象となった2021年8月。津山市にある北山さんの居酒屋は休業していました。売り上げはコロナ禍前の約1割になりました。

そんな北山さんがちょうど1年前、助成金を元手に始めたのがキッチンカーです。

(居酒屋を経営/北山真太郎 社長)
「この1年で戻った店舗もあるけど、半分は戻ってない。今までは成り立ってたものが成り立たなくなったので。今人生で一番働いてます」

この1年で、キッチンカーがイベントなどに出店した日数は約100日。

(居酒屋を経営/北山真太郎 社長)
「今は自分から攻めていくこともしないと難しいのをすごく感じて。まだまだキッチンカーの需要はあると思うので」

北山さんがこの1年で得たもの。それは飲食店をしていただけでは出会えなかった、「仲間」だと言います。

(キッチンカー仲間/砂子祐佳里さん)
「すごいなと思う。夜遅くまでちゃんと自分で用意して、最後まで片付けして、忙しい中やってるからすごい、店舗もあって」

北山さんは2023年5月、岡山商工会議所・青年部のメンバーらと一般社団法人を立ち上げました。現在、約20の飲食店などが参加していて、キッチンカーを集めたグルメイベントを5月18、19日、岡山市で企画しています。

更に、横のつながりを生かして、災害が起きたときには避難所で炊き出しをすることも検討しています。

(岡山まちの賑わい創出協会/万治誠 代表理事)
「キッチンカーは仕込みが中でできて、すぐ炊き出しができる。この車はソーラーパネルをつけてるので、電気が供給できない所でも、キッチンカーの場合はそういう活動(被災者支援)ができる」

「コロナ後遺症」症状が残る人も…

一方で、新型コロナの「後遺症」に悩む人もいます。

WHOの定義では「コロナ後遺症」は発症から3カ月経っても倦怠感や咳、記憶障害などの症状が、少なくとも2カ月以上続く状態のことです。

岡山大学病院でコロナ後遺症の患者などを診察する大塚文男教授は、後遺症の特徴についてこう話します。

(岡山大学病院/大塚文男 教授)
「コロナに感染したときの症状は軽い感じ、ところが後遺症は感染してから2カ月3カ月症状が続く。感染のピークが超えたあとに、少し遅れてから後遺症の方々が増えてくる、といった傾向が繰り返されている」

岡山大学病院は2021年2月に「コロナ・アフターケア外来」を開設し、コロナ後遺症の患者を治療しています。

4月末までに受診した患者952人のデータを分析したところ、患者の数を年代別でみると、40代が最も多く約23%でした。30代から50代を合わせると約60%で、働く世代にも大きな影響が出ていることが分かります。

後遺症の症状別でみると、最も多かったのは倦怠感で約60%。他に多かったのが頭痛や睡眠障害で約20%でした。大塚教授は、症状は数十種類あるとしています。

(岡山大学病院/大塚文男 教授)
「1人あたり3つぐらいの症状を持って受診されるという傾向がある。周囲からわかってもらいにくい、共感してもらいにくい、そういった症状が多い。なかなか周りからわかってもらえないというのが後遺症の難しいところ」

大塚教授はコロナ後遺症になった人の約50%が半年ほどで治るとしています。一方で、約25%の人が1年半を経過しても症状が残っているということです。

(岡山大学病院/大塚文男 教授)
「私たちは感染が終わっても、だいたい1カ月経って症状がとれないときは1度受診して、ほかの病気が隠れていないかとか、あるいは本当にコロナの後遺症でいいかとかの視点で診療をおすすめしている。自身の体調管理、周りの人の体調管理、周りの人への気遣い、こういったことを意識しながら社会生活をまわしていくことが必要」

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