WWEの〝HBK〟ことショーン・マイケルズ副社長(58)が全米騒然の仰天マッチをぶち上げ、話題になっている。
1980年代からWWEマットで希代の天才レスラーとして活躍。一度引退するも復帰して、2010年3月の「レッスルマニア」で〝怪人〟ジ・アンダーテイカーに敗れて引退するまで、プロレスファンを沸かせ続けた。引退後はタレント開発クリエーティブ担当上級副社長として、第3ブランド「NXT」の責任者を務めるが、自身の「X」(旧ツイッター)に突如こう書き込んだ。
「ちょっとしたスウィート・チン・ミュージックで、大いに役立ちます。ケンドリック・ラマー、あなたとドレイクの件を解決するために、NXTに正式に招待しましょう。私が仲裁役を務めます」
HBKは何を言っているのか? これは今、全米の音楽業界を騒然とさせる超大物ラッパー同士のビーフ(ケンカ)をさしている。
事の発端はカナダ出身のドレイクが昨年10月に発表した楽曲「First Person Shooter」。J.コールと共演したもので、コールはリリックの中で自身とドレイク、ケンドリックの名を挙げて「俺らはビッグ3だ」とラップした。これにケンドリックがなぜか半年後の今年3月に反応。フューチャー&メトロ・ブルーミンとのコラボ曲「Like That」で「ビッグ3だってふざけんな、俺だけがビッグだ」などと、ドレイクとコールをディスり出した。
ケンカを売られたドレイクも応じてケンドリックのディス曲を発表すると、ケンドリックはカウンターでドレイクディス曲を立て続けに4曲公開。コールはあっさり退場したものの、ドレイクとケンドリックはお互いの家族まで誹謗し合い、バトルは収まらない。しかもカリフォルニア州コンプトン出身で硬派なメッセージを貫いてきたケンドリックと、ポップな大ヒット曲を連発するドレイクの対比もあって、騒動は拡大する一方になっている。
マイケルズ副社長はそうした全米注目のバトルの決着の場として、「NXT」のリングを持ち出したのだ。実際にWWEのリングにはドナルド・トランプ前米大統領や、ボクシングの元統一ヘビー級王者マイク・タイソンと元5階級制覇王者フロイド・メイウェザー、超大物ラッパーのスヌープ・ドッグが登場した実績がある。マイケルズ副社長も1998年4月に、リング上で当時現役だったタイソンから強烈パンチを浴びた。WWEの現場責任者でCCO(最高コンテンツ責任者)のトリプルHは盟友だけに、「争いはリングで決着」というWWEの基本的な姿勢を提示した格好だ。
これには米メディアも「では、ラッパーたちはショーンの申し出に応じるのだろうか? 現実を見よう…おそらくないだろうが、夢は見られる!」(米ニュースサイト「TMZスポーツ」)と報じ、WWEらしい提案を好意的に受け止めている。