【阪神】岡田監督が球界改革へ公式記録員に〝提言〟「もっとグラウンドに来てほしいわ」

公式記録員に提言した阪神・岡田監督

阪神は8日の広島戦(甲子園)に1―3で敗れ2連敗。本拠地開催となった今カードからは岡田彰布監督(66)の計らいもあり、報道陣に試合前練習中のベンチ入りが許可されるようになった。より活発になった指揮官と番記者たちの雑談は自軍選手の寸評や他球団の戦力分析、自身の昔話など多岐にわたるが、岡田監督の口からは球界改革のためのちょっとした〝提言〟も飛び出した――。

前日7日に行われたカード初戦(甲子園)では二塁手・中野の2失策がいずれも失点に直結し、0―2のシャットアウト負け。守りの野球を掲げる猛虎としては手痛い敗北となったが、岡田監督が問題視したのは別のポイントだった。

「中野の2つ目のエラーはな。あれはどっちか言うたらイレギュラーヒット(安打扱い)やろ。公式記録員もなあ…。大事な仕事なんやで。選手の給料に関わるんやから」

同戦は6日の夜に降った雨と、グラウンドに長時間敷かれた防水シートの影響で甲子園の黒土が硬くなった難しいコンディションの中で行われた。イレギュラーした打球を捕球し損ねた際、失策か安打扱いになるかは公式記録員の判断によるところが大きい。

「昔はな、河野(祥一郎)さんっていう名物記録員がおってな。試合前練習中にグラウンドに来てくれて土の状態を確認したり、選手と意見を交わしてくれたりしたんよ」。映像やデータ上の数字よりも、生身の人間としての感性や肌感覚を重んじる岡田監督だけに「今の公式記録員もな、もっと練習とかを見にグラウンドに来てほしいわ。そらオマエ失策になるか、ならんかは選手にとっては大きいよ。ゴールデン・グラブ賞とかな。投手に自責点がつくかどうかで防御率も変わってくるわけやし」とこぼした。

岡田監督は自身が座長を務めた今年1月の12球団監督会議でも「公式記録員は一緒に試合を成立させるためのメンバー。そういうコミュニケーションは欲しい」と同様の主張をしていた。だが、実際に記録員たちと今季グラウンド上で言葉を交わしたのは「(開幕戦の)東京ドームでちょっと、こっちに来たくらいやな」とのこと。まだまだコミュニケーションが不足しているとの認識だ。

阪神園芸にはかつて〝甲子園の土守〟と敬われた伝説のグラウンドキーパー・藤本治一郎さんがいた。「試合が終わった後な、真っ暗なグラウンドで、じーやん(藤本さん)が懐中電灯を片手にイレギュラーした場所を手でならしているの見てな。その姿見たら俺もうグラウンドには文句言えんわって思ったもん」。プロフェッショナルとして裏方の仕事を最大限リスペクトする岡田監督だけに、求めるハードルも高い。

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