仕事を教えてもらえず、1週間で辞めた女性 「それイジメやん」と指摘されハッとする

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たとえ専門的な資格を持っていても、ブランクがあれば再度慣れるまで時間がかかる。しかし、そんな事情をまったく考慮してくれない職場で働き続けるのは難しい。臨床検査技師の女性(50代前半/大阪府/パート・アルバイト/年収150万円)は、消化器内科クリニックに応募し、「院長との面接の際にかなり詰めた話をして採用」となった当時を語る。

そのときは5年のブランクがあり、院長には「超音波検査の業務から外れたい」旨を伝えていたそうだ。院長からは、

「機器の搬入もまだなのでゆっくり研修できる。とりあえず1週間じっくり見学してください」

などと言われた。女性は「他業種にいたので、ブランクを埋めるまで長い目で見てもらえるならぜひ働きたい」と入職したが、いざ仕事が始まると予想外の酷い扱いが待っていた。(文:福岡ちはや)

「さんざんバカにされたところで働く気はないので、その日限りで退職した」

働き始めると、女性はまず採血業務の見学をすることになった。見学するからには何かしら学びたいところだが、驚くことに「本当に見るだけ」だったという。

「看護師に質問をしても無視。看護助手に簡単な業務の質問をしても『看護師に聞け』とかたくなに回答を拒否。もちろん採血の実習などさせてもらえず。患者の問合せ対応をしたら、『今患者に何言った?』と看護師から尋問」

やがて採血室の隅でただボーッと立っているのがつらくなり、「超音波検査を習うほうが時間も有意義に使える」と考え、検査室に入った。しかし、そこでも「1週間は見学って言われてるから」と先輩技師に言われ、部屋を追い出されてしまった。それなのに、その1週間後にいきなり「超音波検査のテスト」をやらされたそうだ。

「ブランクがありすぎて機械の扱いも忘れているくらいなので、当然アタフタする。『なぜできない?』と怒る院長。院長は1週間のうちに勘が戻せると思ったのかもしれないが、機械に触るどころか部屋にさえ入れてもらえないのにできるはずもなく」

おそらく、院長とスタッフ間で女性の研修内容のすり合わせができていなかったのだろう。それにもかかわらず、一方的に女性へ怒りを向けてくる院長に嫌気が差した女性は、その場で退職の意志を伝えたそうだ。

「院長は焦って、私の未熟な技術をフォローする方法などを提案してきたが、自分たちスタッフのコミュニケーション不足は棚に上げ、ブランクが長い中途採用とはいえ、さんざんバカにされたところで働く気はないので、その日限りで退職した」

「面接時、院長は人間関係の良い職場だと言っていたが、看護師と看護助手が牛耳ってる感が強く、ギスギスした職場だった。1週間我慢しただけでもえらいと褒めたい。3日でもよかったかも」

女性は現在、別の総合クリニックに勤務しており、もう10年目になるという。そこでこの話をしたときに、「検査技師が検査室入れんって、それイジメやん(笑)」と言われ、ハッとしたそうだ。1週間で退職したのは正解だったといえるだろう。

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