米大統領選まで半年…勝敗のカギを握る“第3の男”ロバート・ケネディ・ジュニア氏の行方

11月5日の投開票日まで半年を切った米大統領選。事実上、民主党のバイデン大統領(81)と共和党のトランプ前大統領(77)の一騎打ちの構図だが、“第3の男”の存在をご存じか。無所属で出馬しているロバート・ケネディ・ジュニア氏(70)である。

アメリカ屈指の名門ケネディ家に出自を持ち、伯父は暗殺されたジョン・F・ケネディ元大統領、父はJFKの弟で同じく凶弾に倒れたロバート元司法長官だ。ハーバード大とロンドン・スクール・オブ・エコノミクスを経てバージニア大法科大学院で法学博士号を取得したピカピカのエリートである。一時ヘロインに溺れたが、更生後は弁護士としてキャリアを積みながら環境問題に取り組んできた。

政治経験はないが、昨年春に民主党の候補者指名争いに参戦。同年10月に民主党から離れ、以後、無所属で票の掘り起こしに邁進している。

米政治サイト「リアル・クリア・ポリティクス」がまとめた最新の各種世論調査の平均(7日付)によると、支持率はトランプが41.5%、バイデンが38.8%、ケネディが10.8%。ケネディは「私ならトランプに勝てる」と豪語してバイデンに撤退を促したが、厳しい戦いを強いられているのが現実だ。

■反イスラエルデモで広がるバイデン離れ

ただ、拮抗するバイデンVSトランプの勝敗を左右する可能性がある。

「イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの虐殺に反対する学生デモが全米各地の大学で相次いでおり、若者を中心に、強硬姿勢を崩さないバイデン氏の支持が離れています。7割が民主党支持といわれるユダヤ票のうち一部の反イスラエル政府派の票がバイデン氏から離れても、親イスラエルのケネディ氏に流れるとは考えにくい。むしろバイデン陣営は、民主党系の名門ケネディ家のブランド力を懸念しているようです。ケネディ氏は反ワクチンなどの陰謀論に傾倒しており、同じく陰謀論好きのトランプ氏の票を奪うかもしれません。接戦州でケネディ氏が票を積めるかどうか」(国際ジャーナリスト・春名幹男氏)

かつて1992年の大統領選では、無所属で出馬した実業家のロス・ペローが共和党のブッシュ(父)と保守票を二分し、民主党のクリントン勝利を後押ししたこともある。名門一族の“はみ出し者”がトランプの漁夫の利を招いてしまうのか。

© 株式会社日刊現代