芦屋市立美術博物館のコレクションから「具体美術協会/芦屋」と「アーティストに学ぶ世界のみかた」

展示風景:「具体美術協会/芦屋」 左手前:吉原治良『白地に黒い円」1967年

芦屋市立美術博物館が収蔵する美術作品の中から、「具体美術協会 / 芦屋」と「アプローチ!―アーティストに学ぶ世界のみかた」の2つのテーマに焦点を当てたコレクション展が、同館で開かれている。2024年6月9日(日)まで。

【写真】「芦屋市立美術博物館のコレクション展をのぞき見!」

1954年に芦屋で結成された「具体美術協会(具体)」は、2024年に結成70周年を迎えた。18年間の活動期間に60人以上の作家が会員として参加した。同館では「具体」の作家の作品を多く所蔵しており、今回はこのうち35人の作品約45点を展示する。

「具体」は吉原治良をリーダーに、「人の真似をするな」というスローガンのもと、会員たちは自由な発想と新しい美の創造に向けた独創的な作品の発表を続けた。展示では、結成当初の1954年から57年、1957年から65年、そして1965年から72年に解散するまでの3つの期間に分け、その時代で変遷を遂げた「具体」の姿を浮かび上がらせる。

作品はもちろん、機関誌『具体』や展覧会の関連資料、記録写真からも、「具体」の足跡をたどる。機関誌を見ると、日本語と英語の2か国語で表記されているものも。「当時から海外を視野に入れていたことがうかがえる」と同館の大槻晃実学芸員は話す。

「具体」を取り上げる展示は各地で開催されるが、後期の作家の作品を目にする機会は多くはない。「当館は開館当初から『具体作家の作品を幅広くコレクションすること』につとめてきた。その結果国内外で類を見ない充実したコレクションになった。18年間の足跡をコレクションだけで振り返ることができる。芦屋ならではの展示になった」と大槻さん。「具体の歴史を知り、その当時の歴史的背景を知ることで、作品から伝わるものや見えてくるものがある」と話す。

もう一つの特集展示はアーティストたちがどのような視点で創作活動に取り組んでいるのかに迫る「アプローチ!-アーティストに学ぶ世界のみかた」。

「アーティストも私たち鑑賞者も同じ世界に生きています。作品づくりが仕事なだけで、雲の上の存在ではない。ではアーティストたちはどのように世界を捉え、制作へ繋げ、できた作品を発表しているのか。アーティストたちの仕事のあり様にアプローチして作品を楽しんでいただきます」と同館の川原百合恵学芸員は言う。

展示では、自然や重力・引力、植物、情報など、アーティストたちが制作の動機・題材としたものをキーワードに、作品を紹介する。

自然をテーマにした展示では、目では見ることができない力を、布のライン(しわやたるみ)で可視化したり、森で雷で打たれても倒れなかった木を彫刻にすることで崇高性を見出している作品も。また情報化社会と言われるようになった1970年代に、読んだらゴミになってしまう印刷物を陶器という半永久的な姿に変えて表現した作品など、近現代美術作家14人の作品65点を展示する。

◆芦屋市立美術博物館 コレクション特集
「具体美術協会/芦屋」「アプローチ!-アーティストに学ぶ世界のみかた」
会期 2024年4月13日(土)~6月9日(日)
会場 芦屋市立美術博物館 (芦屋市伊勢町12-25)
休館日 月曜日
※ただし4月29日(月・祝)、5月6日(月・祝)は開館。4月30日(火)、5月7日(火)は休館
※5月11日(土)、12日(日)は無料観覧日

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