36歳〈月収38万円〉サラリーマン…住宅ローン返済〈月18万円〉でも「東京×20坪の狭小住宅」を決心させた「友人のひと言」

(※画像はイメージです/PIXTA)

不動産価格が上昇の一途を辿るなか、特に東京の好立地にマイホームを実現させることは難しくなっています。それであれば「郊外で広めの家を……」と考える人が多いなか、あくまでも「東京×好立地」にこだわる人も。みていきましょう。

不動産価格高止まり「東京で家を持つ」は夢のまた夢

不動産価格は上昇の一途を辿っています。今年1月1日時点の公示地価をみていくと、都道府県別で最も高かったのはやはり東京都。都内で戸建てを建てたいと、30坪の土地を買おうものなら、軽く億を超えてしまいます。

東京都に続くのが「大阪府」。同じように30坪の土地を購入しようとしたら3,400万円ほど。東京都よりは現実的に考えられる水準でしょうか。

【都道府県別「2024年公示地価」上位10】

1位「東京都」122万5300円/平米(+4.81%)

2位「大阪府」34万3228円/平米(+2.71%)

3位「京都府」30万2067円/平米(+2.56%)

4位「神奈川県」28万2816円/平米(+3.41%)

5位「愛知県」23万4619円/平米(+3.23%)

6位「福岡県」22万5568円/平米(+5.68%)

7位「埼玉県」17万4805円/平米(+2.09%)

8位「兵庫県」17万3528円/平米(+1.93%)

9位「宮城県」16万7205円/平米(+4.72%)

10位「広島県」16万1956円/平米(+1.37%)

※(かっこ)内数値は前年比

また不動産経済研究所によると、2024年3月の首都圏の1都3県の新築マンションの平均価格は7,623万円。高額物件の発売が相次いだ反動で5ヵ月ぶりに下落に転じたものの、依然として高水準にあります。

また東京23区の平均価格は1億2,476万円。同じように高額物件が相次いだ反動から、前年同月比42.6%の下落。それでも庶民にとっては異次元のレベルです。

もはや東京で家をもつなんて夢のまた夢。諦めて郊外を探したほうがいい……これがひとつの答えでしょうか。

そんななか、東京23区に8,000万円で戸建てを実現したという36歳のサラリーマン。ロケーションは、私鉄の急行停車駅から徒歩10分。20坪の土地に建つ3階建て3LDKの戸建てだといいます。

男性の給与は月38万円、年650万円、世帯年収は1,000万円超。6,000万円ほど住宅ローンを利用し、30年で返済、月々の返済は18万円ほどになるといいます。

――ローン返済は楽ではなく、共働きだから何とかやっていけます

20坪の狭小住宅、購入の決め手となったのは…

東京、しかも23区内の好立地に夢のマイホームを実現した30代男性。しかし地元の友人には

――20坪……せまっ!

と言われることも。自身も「手を伸ばせば隣の家に手が届く」と自虐的に話します。いわゆる狭小住宅。東京を離れ、どこか郊外にマイホームを実現する、という選択肢もあったといいますが、友人のひと言で「東京×好立地」が最有力候補になったといいます。そのひと言とは?

――売れる場所に家を買え!

田舎の家を相続したという友人。現状の勤務地から考えると、とても住むことはできないロケーション。仕方なく売却……と考えたものの、今のところ買い手がつかず、空き家のままになっているといいます。そんな友人に「郊外に家を買うことを考えている」と話をしたところ、「狭くてもいい。売れるところに家を買ったほうがいいぞ」とアドバイスをされたといいます。

総務省『令和5年住宅・土地統計調査』によると、日本全国にある住宅は6,502万0,700戸。そのうち「空き家」は899万5,200戸で、空き家率は13.8%でした。5年ごとに行われている同調査によると、空き家率は徐々に上昇傾向にあり、人口減少に拍車がかかる今後は、空き家率の上昇もさらに一段高くなるという予想があります。

【都道府県「空き家率」ワースト10】

1位「徳島県」21.24%

2位「和歌山県」21.17%

3位「山梨県」20.47%

4位「鹿児島県」20.44%

5位「高知県」20.31%

6位「長野県」19.97%

7位「愛媛県」19.76%

8位「山口県」19.39%

9位「大分県」19.13%

10位「香川県」18.52%

いずれ、男性の友人のように「家を売りたくても売れない」時代が来る可能性は高い……それであれば「将来、売りたくても売れないと困らない家を買おう」と方針転換。狭くても、高くても、将来売れると見越した場所にこだわったという顛末。

――戸建てなので、マンションよりは子どもが騒いでも気にならない

好立地にこだわったため、やはり狭いなどの犠牲はあったものの、子育てをするには十分だという男性。増え続ける空き家が社会問題となっているいま、「売却のことまで考えて家を買う」というのも、ひとつの考えです。

[参考資料]

国土交通省『地価公示』

総務省『令和5年住宅・土地統計調査』

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