若者の県外流出「歯止め」を 福島県、初の実態調査へ...首都圏で

 若者の県外流出に歯止めをかけようと、福島県は、首都圏で生活する本県出身の若者を対象とした初の実態調査に着手する。今月下旬から東京など1都3県に住む本県出身の若者に転出理由などを尋ね、今後の転出抑制やUターンに必要な支援策を探る。秋までに結果を取りまとめ、年内にも更新される「県人口ビジョン」の人口減少対策に反映させたい方針だ。8日、県議会少子高齢化・地域活性化対策特別委員会で示した。

 人口減が進む本県では、若者の県外流出が喫緊の課題となっている。県によると、県内の2018年以降の転出超過は年間6千~7千人に上っており、このうち15~24歳が7割超を占めている。転出先は東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県が約半数だ。

 県は進学や就職で本県を離れた若者が地元に戻らないことが転出超過の主な要因とみており、見直しを進める県人口ビジョンで実効性ある対策を打ち出すには、実態の把握が必要と判断した。

 調査は、スマートフォンアプリを通じて18~34歳の男女を対象に実施する。県内への進学や就職・転職をしなかった理由、働く・暮らす場所に求める条件などを聞き、350~400件の回答を見込む。一部で対面での聞き取り調査も行い、本県が抱える具体的な問題点を明らかにしたい考えだ。また、県内企業を対象とした調査も併せて実施し、県内就職やUターンの受け皿整備に向けた課題についても把握する。

 民間有識者でつくる「人口戦略会議」が4月に公表した報告書では、2020年からの30年間で20~30代の女性が5割以上減ると推計される「消滅可能性」のある自治体に、県内では浜通りを除く46市町村のうち約7割の33市町村が該当した。市町村の危機感も大きく、将来的な人口減少抑制を図るには若者をいかに県内へ定着させる環境づくりを進められるかが重要になっている。

 県は、地元企業の魅力を若い世代に発信する取り組みなど若者の県内定着の施策を強化しているが、報告書などを踏まえて「若者の生の声を取り入れることでよりニーズに合った対策を講じていきたい」(復興・総合計画課)としている。

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