74歳コンビニ店員、同年代の詐欺被害防ぐ 電子マネー「慣れてないな」と推理 兵庫の警察が感謝状

特殊詐欺を防いだとして感謝状を受け取る油谷利明さん=南あわじ署

 特殊詐欺の手口でだまされた客に声をかけ、寸前で被害を防止したとして、ファミリーマート淡路かもり店(兵庫県南あわじ市榎列松田)店員の油谷利明さん(74)に、南あわじ署が感謝状を渡した。油谷さんは「勇気を出して声をかけることができて良かった」と胸をなで下ろした。(劉 楓音)

 2月28日、油谷さんは同店で夜勤をしていた。午後10時ごろ、少しあわてた様子の70代の男性が店へ。レジで差し出した物は、電子マネーだった。入金し、カードの裏に記された番号を打ち込めば、インターネットでの買い物などに利用できる。

 「6万円を入金してください。クレジットで支払いたい」と男性。しかし男性が手にしていたカードは、基本的に現金でしか入金できない。男性がクレジットカードを使おうとしたことに、油谷さんは「使い慣れていないな」と違和感を抱いた。時間帯や高齢であることも踏まえ、詐欺の被害を疑った。

 油谷さんが声をかけると、男性は「電話で、パソコンを修理するために6万円を振り込んでと言われた。片言の日本語だった」と説明。油谷さんは不審に思い、110番。被害を防ぐことができた。同署によると今回のケースは「サポート詐欺」と呼ばれる手口だったという。

 感謝状の贈呈式で、油谷さんは「お店を守る責任感から防ぐことができた」と振り返った。

 同署管内では4月、年金の払い戻しを装った詐欺の被害が相次いだ。また、全国では、著名人をかたった何者かによる「投資詐欺」などの被害も出ているという。

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