宝島さん夫婦長女の複雑心境…両親殺害に関与した内縁の夫の「動き」どこまで知っている?

送検される関根誠端容疑者(C)日刊ゲンダイ

「空き家の中には入っていない」

栃木県那須町の河川敷で「サンエイ商事」社長の宝島龍太郎さん(55)と妻幸子さん(56)の遺体が見つかった事件。死体損壊容疑で逮捕された夫妻の長女の内縁の夫で、同社マネジャーの関根誠端容疑者(32)は警察の調べに対し、暴行現場となった東京・品川区の空き家に行ったことを否定している。

これまでの調べでは指示役とみられる佐々木光容疑者(28)が「(関根から)金を受け取り、4月初めに遺体の処理を頼まれた」と供述している。

佐々木容疑者は今年2月、福岡から上京。宝島さん経営の飲食店が点在する上野の通称「宝島ロード」付近でキャッチをするうちに関根容疑者と仲良くなり、「仕事」をもちかけられた。

佐々木容疑者は関根容疑者から「遺体処理の報酬」として現金1500万円を受け取り、実行犯2人を手配した仲介役の平山綾拳容疑者(25)に1400万円を渡した。平山容疑者は900万円を自分の取り分とし、実行役の姜光紀(20)、若山耀人(20)両容疑者にそれぞれ250万円を分配している。関根容疑者以外の4人は宝島さん夫婦と面識がなく、カネ目当てで犯行に及んだとみられている。

一連の犯行は多額の現金を用意し、佐々木容疑者に遺体処理を「委託」した関根容疑者が計画したとみられている。一緒に暮らしていた宝島さん夫婦の長女は、どこまで「旦那の動き」を知っていたのだろうか。

「長女はあくまで被害者遺族であり、身柄を拘束されていないことから、逃亡や証拠隠滅、自殺の可能性はないという判断です。事件への関与が疑われれば、関根と一緒に話を聴かれているはずです。関根に関しては事件発生後の早い段階から関与が疑われたため、長女も不信感は抱いていたと思われます。実際、他に黒幕がいるという一部の報道について『黒幕って関根のことでしょうか?』と不安を漏らしていたそうです」(捜査事情通)

■上納金増額要求が引き金に

那須町で発見された遺体の身元が宝島さんだと判明したのは、4月16日のこと。関根容疑者は経営者不在の中、即座に休業を決定。休業中、仕入れ業者と連絡を取り、今後は自らが窓口となり、店舗経営を続けることを伝えている。

1週間後に体制を整えてすべての飲食店を再開させ、店頭に<今後は経営体制を一新し、新たな取り組みやサービスを通じて、より良い飲食体験を提供できるよう努めてまいります>というお知らせを掲示した。

「サンエイ商事が展開する20店舗ほどの飲食店のうち、関根自身がプロデュースしたり、管理する店が数店舗あります。他の系列店より明らかに繁盛していて売り上げが良かったことから、昨年12月末、幸子さんから上納金を増やすよう要求されたそうです。これに関根がキレた。奥さんにも伝え、ケツをまくる構えを見せ、両者の間に対立構造が出来上がった。一方、宝島さんにも店舗をここまで拡大させたプライドがあり、好き勝手させるわけにはいかない。危機感を抱いた宝島さんは、経営者であり、両親にタテ突く長女夫妻に対し、今年1月、長女をサンエイ商事の取締役から外し、代わりに米国在住で弱冠20歳の経営にノータッチだった次女を役員に据えた。明らかな報復人事に映った。これが事件の引き金になった可能性がある」(飲食店関係者)

突然、両親が無残な死を遂げ、その残忍な犯行に夫が加担。残された長女と2人の子どもは、さぞ悲しみに暮れているはずだ。

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