【かづ葉さん(新潟古町芸妓/柳都振興株式会社) 】“古町芸妓の文化をもっと広めたい”


【プロフィール】
かづ葉(かづは):十日町市生まれ、小千谷市育ち。介護職に従事したのち、和の文化が好きだったことから古町芸妓の世界へ転職する。古町芸妓の魅力を広めるために日々精進中。


ガタチラスタッフ:『記念すべき“新潟人200人目”は、みなとまち新潟を代表する文化のひとつ「新潟古町芸妓(柳都振興株式会社)」のかづ葉さんです!介護職に従事していたかづ葉さんが、古町芸妓を目指したきっかけとは…2年目を迎えるかづ葉さんに芸妓になってからの苦労や大切にしていること、今後の目標など様々なお話をお聞きしました!素敵な笑顔で取材に応じてくださり、ありがとうございました!』

介護職から古町芸妓へ転身

──以前は介護の仕事をされていたのですね!

かづ葉さん:高校卒業後は介護の仕事に従事していて、転職という形で柳都振興に入社しました。介護職は、これから需要が高まる分野だと思ったので選びました。

──“芸妓”に興味を持ったのはいつ頃ですか?

かづ葉さん:和の文化が大好きだったので、中学生の頃から芸妓の存在を知っていました。和の文化が好きなあまり、「京都や金沢に住んでみたい」と思っていました(笑)。

──芸妓を目指したきっかけを教えてください!

かづ葉さん:「京都や金沢で暮らすにはどんな仕事があるんだろう?」と調べているうちに、芸妓になれることを知ったのがきっかけです。しかし、新潟の古町に芸妓さんがいることを知ったのは、実は高校を卒業してからなんです。「新潟にも素敵な芸妓さんがいるんだよ」と祖母が教えてくれました。

──京都や金沢への憧れがある中で、新潟を選んだのはなぜですか?

かづ葉さん:憧れはもちろんありましたが、“地元の新潟でもできる”というのが大きいですね。そして、古町芸妓の場合は“会社組織”という点も魅力でした。

──芸妓への転身に、ご家族の反応はいかがでしたか?

かづ葉さん:「自分のやりたいことをしなさい」というのが我が家の方針だったので、応援してくれました。私も“自分の意志を貫くタイプ”なので、反対されても諦めなかったと思います(笑)。

厳しくも優しい先輩方に恵まれて

──どのくらいの期間でお座敷に出られるのですか?

かづ葉さん:私の場合は約1ヵ月半でしたね。高卒の入社であれば、入社前からお師匠さんのところへ稽古に通ったりもできますが、私は前職を辞めるタイミングなどもあり、1ヵ月半で必要なことを習得しなければなりませんでした。

──それは…大変でしたよね…。

かづ葉さん:はい…(笑)。すべてが全くの未経験だったので苦労しましたね。最初にお座敷で披露するのが踊りなので、1ヵ月半は徹底的に踊りの稽古をしていました。

──実際に芸妓になってみて、想像とのギャップはありましたか?

かづ葉さん:入る前に舞妓さんのドキュメンタリーを見て、「厳しい世界だろうな…怖いな…」と思っていたんです(笑)。でも、古町芸妓のお姐さん方は優しく教えてくださるので驚きました。

──確かに上下関係に厳しいイメージがあります。

かづ葉さん:優しい中にも、上下関係はしっかりあります。みんな仲が良いと思いますね。

──芸妓になって苦労したことを教えてください!

かづ葉さん:“お客様との会話”が難しかったです。会話するには知識も必要ですし、もっと経験や勉強が必要だと感じます。

──会話をするにも細かいところまで気を遣わなければいけませんよね…。

かづ葉さん:言葉遣いも気をつけなければいけません。例えば、「なるほど」という言葉を目上の人に使ってはいけないことを知らなくて…。最初の頃は、とにかくお酌して、水を運んで、数をこなすことを意識していました。“何事も経験を積むことが大切”だと思います。

自分自身が楽しむこと

──かづ葉さんが思う“古町芸妓の魅力”は何ですか?

かづ葉さん:やはり「芸」ですね。お家元のお師匠さんに教えていただいているので、踊りも素敵ですし、芸妓のお姐さん方も素敵な方が多いです!

──お稽古は皆さん一緒に行うのですか?

かづ葉さん:私はまだ踊れる曲数が少ないので、お姐さん方が踊っているのを見て勉強したり、お師匠さんがお姐さんに指導している言葉も覚えるようにしています。見て学ぶことも多いですね。

──お稽古は1日どれくらい行うのですか?

かづ葉さん:お師匠さんに教えていただくのは30分~1時間で、稽古場にいるのは3~4時間くらいですね。それを週3~4日です。お稽古をして、お座敷に出て…という繰り返しです。

──初めてお座敷に出た時のことは覚えていますか?

かづ葉さん:何をすればいいのか分からなくて、先輩の見よう見まねで後ろについていた記憶しかありません(笑)。とにかく、失敗しないようにと…。

──その時よりも今は成長しましたか?

かづ葉さん:「失敗しないように…」という気持ちは今も持っていますが(笑)、“お客様との会話を楽しもう”と考えられるようになりました。ほんの少しだけですが、余裕が出てきたかなと思います。

──着物もお化粧も慣れましたか?

かづ葉さん:着物の産地である十日町市や小千谷市で生まれ育ったので、子どもの頃から浴衣が大好きでよく着ていました。だから、着物には抵抗はありませんでしたし、帯を自分で選べるので楽しいですね。化粧は白塗りした顔になかなか慣れなくて(笑)。今も先輩方に化粧の仕方を教えていただいています。

──お座敷で大切にしていることを教えてください!

かづ葉さん:“自分自身がお座敷を楽しむこと”と、先輩からの教えでもある“目の前のお客様を大切に”ということを心がけています。先輩方からはいつも助けられているので、早く一人前の芸妓さんになれるように頑張ります!

芸妓文化と古町の魅力を伝えたい

──オフの日はどのように過ごしていますか?

かづ葉さん:家でアニメを見たり、バレーボールやスノーボードをすることが多いですね。バレーボールは小学生の頃からやっていたので大好きです!散歩も好きなので、お買い物ついでに万代の方へ行ったりもしますよ。

──お客様との印象に残るエピソードを教えてください!

かづ葉さん:何度もご利用いただいているお客様から、「踊りが上手くなったね」と言われたことです。成長している姿を見ていただけるのは、本当に嬉しいです。

──最近では「料亭文化体験会」が実施されていましたが、初めてお座敷に来たお客様の反応はいかがでしたか?

かづ葉さん:皆さん楽しまれていて、本当に良かったと思います。こういう機会が増えて、芸妓文化に興味を持ってくださるお客様がもっと増えると良いですよね。新潟市以外のイベント参加など、“古町芸妓を知る機会”が増えたら良いと思います。

──最後に、今後の目標を教えてください!

かづ葉さん:稽古にしっかり取り組み、“踊りを綺麗に魅せられるようになること”です。あとは、自分のできることをどんどん増やしていきたいですね。そして、芸妓文化をもっとたくさんの方に知っていただきたいと思います!魅力を知っていただき、お客様はもちろん、“芸妓を目指す方”も増えると嬉しいですね。

【柳都振興株式会社】
住所:新潟市中央区古町通九番町1463番地
電話:025-222-7080
公式ホームページ:https://www.ryuto-shinko.co.jp/
公式Instagram:@ryutoshinko

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