DeNA26年ぶりVは筒香よりメキシコで奮闘中のバウアー次第 6月以降に復帰交渉が本格化

筒香嘉智(C)共同通信社

この日も一番の歓声が起きた。8日のヤクルト戦。スタメン発表で復帰2戦目となる筒香嘉智(32)の名前がコールされると、横浜スタジアムのボルテージが一気に上がった。「6番・左翼」で出場したこの日は3打数無安打2三振に終わったものの、6日の復帰戦でいきなり逆転3ランを放った元主砲に対する期待が日に日に増しているのは確かである。

「5年ぶりの日本球界復帰に際し、球団内ではさまざまな意見があった。筒香が海を渡ってから入団した牧が4番に座り、脇を固める佐野と宮崎の3人でリーグ屈指のクリーンアップを形成。ドラ1新人の度会が華々しいデビューを飾って、外野のポジションの世代交代も進みつつあった。筒香を獲得して、せっかくつくり上げたチームのバランスが崩れないか。そんな声もあったのですが、復帰戦のあの3ランで懸念は吹き飛んだ。ファンの絶大な支持も追い風になり、チームは完全に上げ潮ムードです」(球団OB)

26年ぶりのリーグ優勝を至上命令とする今季。筒香は悲願達成の切り札と期待されているのだが、1998年の優勝監督で評論家の権藤博氏はこう言うのだ。

「筒香の復帰は確かに大きい。戦力的にはもちろん、その存在感が頂点を目指す選手とチームの背中を押す。ただし、ペナントレースを戦う上で打線はアテにできない。ベンチも計算には入れないものです。優勝した98年も『マシンガン打線』と形容された強力な攻撃陣が勝因と思われがちですが、実際は投手力を含めたディフェンス力の勝利だと思っている。その点で今年のベイスターズは不安があります」

実際、8日現在のチーム防御率はリーグ5位の3.36。総失点122はリーグワーストだ。

「特に山崎康晃が抑えから外れたリリーフ陣をどうするか。七、八、九回をしのぎ切れる陣容を整えなければ、優勝は見えてきません。当面は、役割を固定せずに起用していき、固定できる投手が出てくるのを待つしかない。当然、三浦監督も考えているでしょうが、とにかく投手陣の再整備に力を尽くすことです」(同)

そこで、ある意味で筒香以上に待望されているのが、昨オフに1年限りで退団したトレバー・バウアー(33)の獲得だ。昨季はキャンプ後の3月に入団、一軍登板は5月にずれ込んだが、最終的に10勝4敗と元サイ・ヤング賞投手の貫禄を見せつけた。メジャー復帰を優先して退団したが、DeNAは今も復帰オファーを出し続けている。

「現時点でメジャー復帰がかなわず、今は短期契約でメキシカンリーグに所属。一度延長した契約も6月頭までですから、その前後から復帰交渉が本格化するかもしれない。米国でのDV疑惑や気難しい性格が不安視されましたが、中4日登板や完投をいとわない姿勢、データを駆使した投球術は間違いなく投手陣にいい影響を与えた。バウアーが復帰すれば先発に柱ができるだけでなく、投手陣の再編も可能になる」(前出のOB)

ちなみに、メキシコでのバウアーは4試合に登板して3勝無敗、防御率1.96。DeNAが筒香以上の熱意を持つわけである。

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バウアーはなりふり構わずメジャー復帰を目指しているが、最終的にNPB復帰する可能性が濃厚だ。

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