元全米王者のティームが今季限りで引退と地元紙が報道。すでにスポンサーに伝達済みとの情報も<SMASH>

オーストリアメディア『Salzburger Nachrichten』は現地5月7日、極度の不振に陥っている男子テニス元世界ランク3位のドミニク・ティーム(オーストリア/現117位/30歳)が今季限りでキャリアに別れを告げる意向を固めたと報道。すでにティームは各スポンサーに引退の旨を伝えているとの情報も流れており、同選手のマネージャーを務める弟のモリッツ・ティーム氏によれば、今週末には記者会見で本人から進退についてコメントが出される見込みだという。

2011年にプロ転向して以降、力強いストロークを軸とした攻撃的なテニスで活躍してきたティーム。中でもクレーコートと得意とし、現在17個獲得しているタイトルのうちの10個はクレーでのものだ。

一方でハードコートでも輝かしい功績を残しており、19年の「BNPパリバ・オープン」では四大大会に次ぐグレードのマスターズ1000シリーズ初タイトルをゲット。翌20年の全米オープンでは悲願のグランドスラム(四大大会)初制覇を成し遂げ、名実ともにトップ選手としての地位を確立した。
そんな彼の右肩上がりだったキャリアが転じたのは21年シーズンだった。芝シーズンに行なわれた「マヨルカ選手権」(ATP250)で右手首を負傷すると、そこから半年以上にわたってリハビリ生活を送ることに…。22年3月に実戦復帰を果たしてからは復調の兆しを見せていた時期もあったものの、以前のような強さは取り戻せず、今季も今のところツアー本戦では1度しか勝てていない。

この3月には主戦場をチャレンジャー(下部大会)に移し、「これが最後のチャンスだと考えている」と引退も覚悟の上で数大会に参戦。しかしここでも結果を出せなかったことに加え、同月末には手首のケガの再発を報告し、いよいよ引退も近いのではないかとの噂も出回っていた。

当時のティームは苦境の中で何とか這い上がろうという意欲を示していたが、長く暗いトンネルを抜け出せない現状に、とうとう限界を感じてしまったのかもしれない。

一部メディアの報道によると、ティームは今年10月に母国の首都ウィーンで開催される「エルステ・バンク・オープン」(10月21日~27日/インドアハードコート/ATP500)をキャリア最後の大会にする考えを示しているという。会見でティームの口から何が語られるのか。一連の報道を信じたくないであろうファンからも注目が集まっている。

文●中村光佑

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