『猿の惑星/キングダム』ウェス・ボール監督が語る新作誕生の経緯とは?

半世紀以上前から続く「猿の惑星」シリーズの完全新作がいよいよ完成。そのベールを脱ぐ時が迫っています。2024年大注目の一本はどんな内容なのか探ってみましょう。

SF映画の神話的名作『猿の惑星』完全新作が登場!

1968年、ピエール・ブールの原作を基に生み出された第1作公開以来、半世紀以上もの長い間、観客に愛される「猿の惑星」シリーズ。その人気シリーズに新たな始まりを告げる完全新作が登場。

現在から300年後の世界を舞台に、かつてこの惑星を支配した人間は退化し、圧倒的に進化した猿がすべてを取り仕切る中、この惑星の命運を大きく変えてしまう可能性を持った人間ノヴァが出現。彼女と出会った猿のノアは、巨大な帝国を築こうとしている狂的な独裁者プロキシマス・シーザーに、ある秘密を抱えたノヴァと共に立ち向かうことに……。

監督は「メイズ・ランナー」シリーズを手がけ、人気ゲーム「ゼルダの伝説」の実写化も手がけるウェス・ボール。脚本はパトリック・アイソン、ジョシュ・フリードマン、リック・ジャッファ。音楽は『メイズ・ランナー』(2014)のジョン・パエザーノ。特殊効果をWETAデジタルが担当している。

出演は『To Leslie トゥ・レスリー』(2022)のオーウェン・ティーグ、『ガンパウダー・ミルクシェイク』(2021)のフレイヤ・アーラン、『フルートベール駅で』(2013)のケヴィン・デュランド、『アバウト・ライフ 幸せの選択肢』(2023)のウィリアム・H・メイシーら。

あらすじ

300年後の世界は、かつての支配層だった人類が退化し、急速に進化した猿たちに支配され、人間は動物のように猿たちから隠れて暮らしていた。一方の文明を生み出した猿たちを統治する冷酷な独裁者プロキシマス・シーザー(ケヴィン・デュランド)は、巨大な帝国(キングダム)を築く野望に燃えていた。

そんなプロキシマスによって、住んでいた村と家族を奪われてしまった若き猿のノア(オーウェン・ティーグ)は、ある日、不思議な人間の女性ノヴァ(フレイヤ・アーラン)と出会う。実は彼女は猿たちの知らない“ある秘密”を知っていた。そしてその秘密を握ることでこの世界を大きく変えてしまう可能性を秘めたノヴァをプロキシマスは追っていたのだ。

世界の支配層である猿たちも知らなかった事実が明かされる?

やがてノアとノヴァは互いに心を開き、種の違いという壁を越えて団結していく。そしてその団結が育むパワーはプロキシマスの狂気の支配を止めるのだろうか。それとも、世界のすべてを覆してしまうのか。そしてプロキシマスが狙うノヴァだけが握る“秘密”とは一体何なのか?

キャラクター紹介

ノア(オーウェン・ティーグ)

プロキシマスによって家族と故郷を奪われた若き猿。人間のノヴァと出会い、種を越えて互いに協力するようになる。

ノヴァ(フレイヤ・アーラン)

ある秘密を握っている野性化した人間の女性で、そのためプロキシマスから追われている。猿のノアと団結することに。

プロキシマス・シーザー(ケヴィン・デュランド)

世界を支配するようになった猿たちをリードする冷酷な独裁者。巨大な帝国を作り上げる野望を持っているが……。

ウェス・ボール監督が語る新作誕生の経緯

プロキシマス・シーザーの基地は、難破した貨物船を利用したもの?

元々ボール監督は本作の前に20世紀スタジオで予定されていた映画を手がけようと、マット・リーヴス(『猿の惑星:新世紀』と『同:聖戦記』の監督)と一緒に仕事をしていた。

残念ながらその企画はなくなってしまったのだが、その映画で最新のモーション・キャプチャー技術を使用する予定だったことなど、様々な縁に導かれる格好で新たな「猿の惑星」の監督の話が持ち上がり、就任することとなった。

しかも本人は子供時代に1968年版『猿の惑星』の大ファンだったことも明かしている。だが一度はオファーを断ったのだという。

ボールは

「その直後、新たなアプローチのアイディアがひらめいたんだ。前の3部作で描かれたシーザーのレガシーを捨て去る必要はないというアイディアさ。時代を大きく飛ばして、シーザーの死後、今回の物語が始まるまでの間に暗黒の時代が訪れたというもので、全く違う世界観ができると思った。そして若者の成長物語という点も。主人公を世間知らずな若者にして彼がいろんな経験を通じて成長する話にしようと考えたんだ」

と再考した行きさつを語っている。

また本作に影響を与えた作品としてメル・ギブソン監督の『アポカリプト』(2006)を挙げているほか、「スター・ウォーズ」「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズや『ラストサムライ』(2003)などの要素もあるという。

さらに監督は『アバター』の熱烈なファンで、今回の作品でも特殊効果を担当するWETAの駆使したテクノロジーにも魅力を感じていたということだ。

「猿の惑星」シリーズを振り返る

革新的なSFとして一世を風靡した『猿の惑星』第1作

フランスの小説家ピエール・ブールのSF小説を、20世紀フォックスがフランクリン・J・シャフナー監督、チャールトン・ヘストン主演で映画化した1968年製作の大作『猿の惑星』は、人間が猿に支配される惑星が舞台という衝撃的な内容と、当時驚かれた猿のメイク技術、さらに「絶望的な人類の運命」を暗示させる映画史に残るラストシーンなどの話題があいまって大ヒット。

批評家からの高い評価も受け、第41回アカデミー賞では特殊メイク担当のジョン・チェンバースが名誉賞を受賞した。

この大成功を受けて、早速シリーズ化が検討され、1970年には『続・猿の惑星』を製作。さらに『新・猿の惑星』(1971)『猿の惑星・征服』(1972)『最後の猿の惑星』(1973)と次々新作が作られたが、評価的には徐々に振るわなくなっていった。

そして映画版が終了すると、1作目の続きのストーリーに当たるテレビ・シリーズ「猿の惑星」(1974)が作られるほど一般ファンには愛され、誰もが知るSFシリーズとなった。

1980年代に入ると「猿の惑星」再始動の計画が持ち上がったが、なかなか実現に至らず、1999年になって大きな動きが見られ、ついにティム・バートンが監督に就任する。こうして2001年に『PLANET OF THE APES 猿の惑星』(マーク・ウォールバーグ主演)が公開。リメイクではなく、新たに一から仕切り直すリ・イマジネーションと呼ばれた。

高評価を得た前3部作の第1作となる『猿の惑星:創世記』

こちらは続編は作られなかったものの、「猿の惑星」を続ける企画は再び進行し、2011年、『猿の惑星』の起源を描くリブート版となる、ルパート・ワイアット監督の『猿の惑星:創世記』が公開。主人公シーザーをアンディ・サーキスがモーション・キャプチャーで演じ、以後の2作(『猿の惑星:新世紀』『猿の惑星:聖戦記』。監督はマット・リーヴス)も連続して同役を熱演した。

この3部作では猿が知性を持ち、人間との最終戦争に至るまでを描いた。そしてシリーズ完全新作『猿の惑星/キングダム』(2024)はさらに今から300年後の世界を描く。そのラストには、1作目に匹敵するような衝撃の結末が待っているという。

『猿の惑星』『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』ディズニープラス配信中
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『猿の惑星/キングダム』
2024年5月10日(金)公開
アメリカ/2024/配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
監督:ウェス・ボール
出演:オーウェン・ティーグ、フレイヤ・アーラン、ケヴィン・デュランド、ピーター・メイコン、ウィリアム・H・メイシー

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