赤色灯は真っ赤な偽物 ”偽装パトカーで人身事故”

福岡市天神で2月、パトカーを装った車と衝突し、タクシーの乗客らがけがをしたニュースを8日お伝えしましたが、ドラレコやタクシー運転手の話から当時の状況が見えてきました。

事故の瞬間(衝撃音)「うわっ」

機械音「緊急通報を開始しました。ヘルプネット(=緊急通報サービス会社)に接続しています」

運転手「あれは向こうが徐行でしょ絶対。こっちが青やけん」機械音「ヘルプネットを呼び出しています」

サービス会社「ヘルプネットです。事故ですか?」運転手「事故です」

サービス会社「救急車は必要ですか?」運転手「けがされてません?」乗客「大丈夫です」

サービス会社「救急車は必要ですか?」運転手「救急車はわかりません」

サービス会社「事故の相手は乗用車ですか?」運転手「えっと、パトカーだったと思います」

サービス会社「パトカー?」運転手「はい」

サービス会社「パトカーですか?」運転手「パトカーです」

運転手の男性がパトカーと思ったのも無理はありません。ぶつかる瞬間、覆面パトカーに取り付けられる赤色灯がはっきり見えたのですから。

しかし、警察のものとみられた赤色灯は、文字通り真っ赤な偽物でした。

タクシー運転手(61)「え?警察じゃなかったの?って。0・5秒遅れてたら僕に直撃でどうかなってた」

記者「事故現場となったのは、西鉄福岡駅前の見通しのいい交差点でした」

2月17日午前1時半すぎ、福岡市天神の渡辺通四丁目交差点で事故は起きました。

警察によりますと、南から北へ走っていた車が、覆面パトカーのように赤色回転灯を車の上に置いてサイレンを鳴らし「交差点に進入します」と拡声器で言いながら、赤信号の交差点に入りました。

そして中洲方向に向かっていたタクシーと出合い頭に衝突したということです。

警察に押収された車内には、当日つけたとみられる赤色灯のほか、サイレンの装置それにマイクなど「覆面パト」偽装セットがそのまま残されていました。

記者「午後1時すぎです。本村陸容疑者が中央警察署を出てきました」

運転手ら4人にけがをさせたとして、危険運転致傷の疑いで逮捕された、運転していた本村陸容疑者(24)と助手席に乗っていた仰木康汰容疑者(25)が9日送検されました。

2人は警察に興味があり、趣味を通じて知り合ったということです。

当日は本物のパトカーを発見し、何が起きるかを見るために、わざわざあとを追って交差点に進入したという趣旨の話をしています。

事故にあったタクシーは納車されたばかりでしたが、修理代が200万円以上にかさむことから、新車に買い替えることにしたといいます。

運転手「大破ですね。走れないでしょ、これ。車がないとできない仕事です。その収入が全くないわけですからね」

警察は、迷惑極まりない「偽装」の目的などを詳しく調べる方針です。

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