「突破口を開けたと思っています」総務省を説き伏せ事実上容認引き出す 全国初 選挙の「オンライン立会」実施へ 立会人不足による投票所減少に対策

全国初の試みを鳥取県から。
テレビ会議のようなシステムで送られてくる映像で選挙の投票所の立会人をする
「オンライン立会」のリハーサルが、9日、鳥取県智頭町で行われました。

日野彰紀記者
「投票所として使われる車の中にあるのはカメラ付きのモニター、テレビ会議のようなシステムでここから映像を送り、別の場所にいる人が立会人となるのがオンライン立会です。」

全国初のオンライン立会を実施するのは、6月の智頭町長選挙と町議補欠選挙。
巡回型の期日前投票所となるワゴン車の中に記載台や投票箱に加え、オンライン立会に使うモニターなどをしつらえました。

車内の様子はテレビ会議のようなシステムにより、インターネット回線で映像として智頭町役場に送られ、役場にいる立会人が見守ります。

投票に来た人が投票用紙を受け取り、候補者の名前を書き、投票箱に用紙を入れる。その様子をカメラが見守ります。
約11キロ離れた場所でのオンライン立会いとなります。

オンライン立会人(智頭町役場 衣笠梨沙さん)
「初めてだったのできちんと向こうの様子が見えるかどうかっていうのが少し不安ではあったんですが、実際やってみるときちんと映像も音声も問題なくできましたので。」

鳥取県の平井知事がオンライン立会を推し進めるのは、投票所が減り続ける今の状況をなんとかしたいとの思いがあるからです。

公職選挙法では1つの投票所につき2人から5人の立会人を必ず置かなければなりませんが、それだけの数の立会人を揃えるのは市町村にとって至難の業。

これがネックになって鳥取県では1996年に581か所あった投票所が、去年は359か所まで減りました。

これは「民主主義の危機」と、知事は難色を示す総務省を説き伏せ、オンライン立会でも法的に認められると事実上の容認を引き出しました。

平井伸治知事
「なかなか法解釈の壁は厚いものがありました。突破口を開けられたと思っています。」

総務省が示したオンライン立会いの条件は、少なくとも1人は立会人が実際に投票所にいること、投票所全体の様子をオンラインで把握できるようにすること、など6つ。

トラブルを想定した場面では条件の一つ、双方の意思疎通を確かめました。
一度投票を済ませた人が再び投票したいと来た場合。

現地の職員
「立会人さんのご意見を伺いたいと思うのですが。」
役場にいる立会人
「選挙人は先程投票されたと記憶しておりますので投票を拒否するべきだと思います。」

更にオンライン立会いの通信が途切れた場合の対処、速やかにもうひとりの現地立会人を選任しました。

平井伸治知事
「滞りなくできたことに本当に安堵しています。国の方とも協議させていただきましたが、最終的にこうした地域の挑戦を認める形になったことは大変評価できる英断を国もしたと思っています。」

全国初となるオンライン立会いは、6月の智頭町長選挙と町議補選の予定。
どこの期日前投票所で実施するかなどは調整中です。

融通が利かず投票所の減少を招いた選挙の制度に風穴を開けることになるのか?
オンライン立会に全国の目が注がれています。

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