ニューウェイ離脱に「彼の役割は変わった」とレッドブル代表。チームは数年前から準備をしてきたと主張

 クリスチャン・ホーナーは、レッドブルF1チームがエイドリアン・ニューウェイの離脱を惜しむことはないとの主張を続けている。このチーム代表は、チーフテクニカルオフィサーを務めるニューウェイの決断が、ホーナー自身が関与したスキャンダルとは何の関係もないと考えていることを明らかにした。

 さらに、ニューウェイが2025年に別のチームに加わっても、彼の存在だけで雇い主のチームの成功が保証されることはないとまで言っている。

 ホーナーは、ニューウェイの決断が公表されて以降のレッドブルの方向性に従い、彼がチームを去る唯一の理由は休息を取る時期だと感じたためだと主張した。

「エイドリアン(・ニューウェイ)と話したり彼が出した声明を見れば、今がその時だと決断したことが分かる」とホーナー。

「ほぼ35年という年月を経て、強さとエンジニアリングの厚みがあるチームから退くということだ。我々はその時がいずれ訪れることを知っていたので、バトンを受け取って継続するための体制を整えてきた。それはこの5、6年で構築してきたものだ」

レッドブルF1チームを退団することが発表されたエイドリアン・ニューウェイ(チーフテクニカルオフィサー)

 ホーナーが関与しているスキャンダルが、ニューウェイの決断の引き金になった可能性はあるかと問われると、チーム代表は論点をそらせ、次のように語った。「私はエイドリアンとこの件について長時間話をしたが、彼の立場は非常に明確だ。我々は素晴らしい関係を築いてきたし、これからもそうあり続ける」

「私たちは仕事仲間であると同時に友人でもある。彼はこのチームのために多大な貢献をしてきたので、彼がチームを去るのは残念だ。しかし、彼はチームを良い状態で残してくれたし、我々には前進するための素晴らしい人材と強力なチームがある」

 この件について追及されても、ホーナーはニューウェイの貢献を失うことがチームにとって大きな損失となる可能性があることを認めなかった。「残念ながら、永遠に続くものはない」と同氏は続ける。

「エイドリアンはウイリアムズに7年、マクラーレンに7年在籍した。我々は彼を18年間とどめることができた。我々はコースの内外で、素晴らしい瞬間を楽しめたと思う」

「彼との旅は素晴らしいものだった。エイドリアンは私の友人であり、私の子どもたちの名付け親だ。我々はこれからも友人であり続ける。私たちは将来に向けて良い状態にある」

「レッドブルのテクニカルチームでも……この日が来ることは以前から分かっていた。そして、エイドリアンが離脱が近づいた2014年以来、(将来を見据えた)この体制が構築されてきた」

「エイドリアンはF1からしばらく離れるつもりだ。誰も65歳の彼を責めることはできない。彼はその権利を獲得し、休息を取る権利を得たのだ。その後彼が何をするかは、彼自身の選択次第だ」

2024年F1第6戦マイアミGP クリスチャン・ホーナー(右)とエイドリアン・ニューウェイ(左/レッドブル)

 最後にホーナーは、温厚なニューウェイがライバルチームに加入した場合の影響は、大きなものにはならないと主張した。彼の考えでは、このスポーツで成功を収めるためにはニューウェイの能力だけではなく、彼の仕事に対応できるチーム体制が不可欠だという。

「現在のF1は、特にコスト制限の要素を考慮しなければならないため、非常に複雑なビジネスとなっている。資金や予算をどこで合わせられるか、リソースは何か、費用対効果を最も高められるのは何か、非常に慎重に考える必要がある」

「我々レッドブルは、エイドリアンの仕事の仕方に適応できる、エイドリアンを中心に発展した組織体制を持っていた。彼はF1界でいまだに製図板を使っている唯一のデザイナーだ。しかし、レギュレーションがますます厳しくなり、チーム内でのエイドリアンの役割がここ数年で進化し発展するにつれ、他のメンバーがステップアップしなければならなくなった」

「我々は仕事のやり方を変え、進化させる必要があったが、これはどの組織でも同じことだ。日々進化し、適応し続けなければならない」

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