前浜松市長の鈴木康友 候補は第一声で何を話した? ホームではなく馴染み薄い東部地域を出発の地に 静岡県知事選

静岡県の川勝平太 知事の辞職に伴う県知事選挙が5月9日に告示され、県政史上最多となる6人が立候補した。このうち元衆議院議員で前浜松市長の鈴木康友 候補が第一声で何を話したのか、全文を掲載する。

過去最多の6人が立候補

5月26日に投開票が行われる静岡県知事選に立候補したのは、届け出順に政治団体代表の横山正文 候補(56)、共産党県委員会の委員長・森大介 候補(55)=共産党公認、元衆議院議員で浜松市長を4期務めた鈴木康友 候補(66)=立憲民主党・国民民主党推薦、元総務官僚で県の副知事を務めた大村慎一 候補(60)=自民党推薦、自営業の村上猛 候補(73)、会社役員の濵中都己 候補(62)の6人だ。

このうち鈴木候補は9日午前10時半から沼津市で出陣式を行った。

鈴木候補の第一声全文は以下の通りだ。

「政治人生を全部かける」

いよいよ17日間の静岡県知事選挙がスタートいたします。

今回、この選挙にこれまでの政治人生を全部かけて、チャレンジ・挑戦することを決断いたしました。衆議院2期5年、市長4期16年、この経験を全部注ぎ込んで混迷する県政を立て直し、そして、さらに静岡県を発展させるため全力で取り組んでいきたいと思います。

私の今回のスローガンはオール静岡で日本一幸福度の高い静岡県を作ろうであります。

馴染みの薄い東部地域を強く意識?

幸福度を上げていくためには、それぞれの地域に住んでいる住民のみなさんが、それぞれ幸福感・満足感を持っていただかなければいけません。南駿・北駿・岳南、そして伊豆半島。こうしたこの東部地域、そして中部、西部、それぞれに良さをいっぱい持っている。

それぞれの良さを引っ張り出して、そして、それぞれの地域を元気に、そして豊かにし、県全体の幸福度を上げていく、それが私の役割だという風に思っております。よく小さい頃から観光で伊豆やこの東部を訪れていました。本当にいいところだと思ってまいりましたけれども、今回改めて隅々までお邪魔してその潜在的なすばらしさというものを実感いたしました。

こうした東部の良さを全力で引き出して、元気な伊豆半島、元気な東部を作っていきたい。観光もまだまだですね、いろいろなことができます。市長時代もいろいろアイディアを駆使して、観光施策に取り組んでまいりました。これからの観光は大きく時代の変化とともにその形態も変化してまいります。そうした形態・変化に合わせてですね、観光の新しい道を探っていかなければなりません。

市長時代、マリンスポーツを核にした観光振興に努めてまいりました。この伊豆を中心とした東部、もっともっとマリンスポーツを中心とした観光振興可能ではないか、もっともっと人を引き付けられるいろいろなことができる、そんな可能性も感じました。

ベンチャー企業を東部地域に

ベンチャー企業という新しい技術や新しいビジネスのモデルを持って起業し、そして大きな飛躍をするような、そういう元気な若い会社、これをですね、この東部地域で生み育て、あるいは首都圏から誘致していきたいという風に思っております。

必ずこれはできる。いろいろな、私はですね、ベンチャー企業支援のための方策を実行してまいりました。例えばファンドサポート事業という、ベンチャー企業にとって一番大事な資金を獲得する手段をですね、もっともっと資金を獲得しやすくするための市がベンチャー企業に投資するという日本初の試みをいたしまして、多くのベンチャー企業誘致をしました。

これを今回、全県でやる。特にこの東部地域を中心にですね、この取り組みをすれば、もっともっとですね、多くのベンチャー企業を首都圏から呼び寄せることができると、その潜在的な力、この東部はものすごくあるということを実感いたしました。

また、ベンチャー企業はですね、ただ若い人たちが集まって元気になるだけではない。いろいろな新しいビジネスがそこから生まれます。ベンチャーがIT×農業でですね、新しいスマート農業、どんどんいま作り始めています。

三島をご覧ください。あそこにはベンチャーが、三島ウイスキープロジェクトというのを始めました。三島ウイスキーという新しいブランドを作り、そしてウイスキーを通じてですね、街づくりをする。街の活性化をする。ベンチャー企業というのは街まで変えちゃうんです。こういう、すごい力をこの東部にどんどん注入していきたいと思います。

第一次産業も大事です。伊豆の水産業、あるいはこの東部一円のですね、農業、こうした水産業や農業をですね、ぜひこれまでやってきた経験を生かしてどんどん振興していきたい。それは必ずですね、できる。それだけの潜在力・ポテンシャルを持っているのがこの東部地域だという風に思っております。

移住を加速させるカギはリニア

しかしながら課題もいろいろあります。全県的な、あるいは日本全体の課題でもあります人口減少社会にどう対応していくか。まずは、若い人たちが安心して住める、安心して暮らせる、そういう地域を作っていかなければなりません。

私は市長時代、子供第一主義というのをスローガンに掲げまして、結婚から妊娠・出産・子育て・教育まで一貫して、きめの細かな支援を行う、こういう取り組みをしてまいりました。様々な施策を行ってまいりました。この経験はこれから全県に生かしていくことができると思います。

静岡県が日本で最も子供を産み育てやすい県である、そういう県を皆さんと共に作っていきたいという風に思っております。また、この東部はですね、本当に首都圏とのアクセスもいい。

いま、日本の移住先ナンバーワンはこの静岡県であります。特にこの東部地域には、たくさんの皆さんが移住してきている。これをですね、加速するのは、私はリニアの役割ではないかと思います。「何を言ってるんだ」と。「リニアは静岡県に駅が1つもできないじゃないか」と言われるかもしれません。そうではないんです。リニアが開通するとどうなるか?いま、ほとんど新幹線が走っているのは「のぞみ」であります。1時間に14~15本の新幹線が通りますが、そのうちの11~12本はのぞみ号、静岡県の6駅には1つも停まりません。

あの三島ですら、「ひかり」1本停まるか停まらないか、あと「こだま」2本だけであります。しかし、リニアができるとどうなるか?「のぞみ」のほとんどはリニアに移行します。ということは、東海道新幹線のダイヤがものすごく空くようになるんですね。

そうすれば「こだま」も「ひかり」もどんどん増やすことができる。三島や熱海や新富士はもう首都圏であります。ここからも通えるし、どんどんですね、人の移動が、もっともっと利便性が上がっていく。リニアができるとこの東部地域に絶大なる、私は経済波及効果をもたらすという風に思っております。もちろん水の問題、生態系保全の問題、こうしたことと両立しなければいけませんけれども、私は課題があるから止めるんじゃなくて、課題を克服して物事を進めていく、こういう姿勢でこれまでやってまいりました。この姿勢はこれからも一貫して続けていきたいという風に思っております。

伊豆半島の防災対策や医大誘致構想

そして本日、この5月9日は1974年の伊豆半島沖地震から50年の日であります。今年の元旦には能登半島で大きな地震がございました。改めて、半島防災という大きな課題を突き付けられております。伊豆半島も能登半島とほぼ同じ大きさであります。伊豆半島に大きな地震が起こればですね、孤立集落がたくさん生まれるかもしれない。住民の皆さんに大きな影響が出るかもしれない。それを今からしっかりと対策をしていくことが必要だと思います。

まずはしっかりとした道路網の整備、これをさらに加速させていきたいという風に思います。しかし、なかなか道路だけではですね、100%完全とは言えない。その際はですね、空と海があります。空からの物資の補給や人の移動、今回の能登半島でも自衛隊のヘリコプターが大変活躍をしました。伊豆半島に多くのヘリポートを準備していけばですね、有事の際には空からの補給が可能となります。あるいは海岸の護岸をですね、しっかりと整備すればですね、海からの人や物の移動が可能となる。道路だけではない、こうした空海併せて多重のですね、強靭な防護策を作っていく。これが半島防災対策には必要だと思っております。しっかりとそうしたことに取り組んでいきたいと思います。

そして、この東部地域、もう1つ大きな課題はですね、やっぱり医療資源が中部・西部に比べて非常に不足をしているということであります。県もいま医学修学研修資金制度というので、お医者さんになる学生にですね、支援している。そして、静岡県でしっかりと定着し、お医者さんの仕事をしてもらおうと。こういう制度をですね、さらに拡充をするとともに、私はこの東部地域に医学部、医大をですね、誘致をしたいと思います。これは不可能ではない。すでにアテも少しある。私が知事になれば、私が先頭に立って、この東部に医学部、医大を誘致したいと思います。私は今まで全部自分が先頭に立って、そうして困難な事案を実現してまいりました。この課題に対してもですね、しっかりと取り組んで東部地域の皆さんに安心していただける、そうした医療環境を作っていきたいという風に思っております。

また、街づくりも大事であります。この沼津は、頼重市長がいまいらっしゃいますけれども、これから鉄道高架事業という大事業が控えています。これは県・市一体となってやっていかなければなりません。そして、ただ鉄道高架にするだけではなくて、街づくりをすることが大事であります。沼津の街を大きく変えていく。こうした市街地再開発事業も一緒に沼津市さんとやっていかなければなりません。

浜松でもいろんなことをやりました。空き店舗や空きビルを、新しいですね、人が集まるような業態に変えていくリノベーション事業というもので、ひとつひとつ空きビル・空き店舗を変えて、そしてエリア全体のにぎわいをですね、創出するような取り組みしてまいりました。こうした取り組みはこの沼津でも可能であります。鉄道高架化事業と共にですね、市街地再開発事業を通じて、もっともっと沼津を元気にしたいと思います。

隣の三島でもですね、駅の再開発が始まっています。こうした東部地域の街を大きく変えるような、そうした取り組みをですね、ぜひ市町の皆様と共にですね、頑張って取り組んでいきたいという風に思います。

まだまだやりたいこと、言いたいことはたくさんありますけれども、私が冒頭申しましたように、この4期16年で培ったすべての経験・知見をですね、全部駆使してこの静岡をもっともっと発展をさせていきたいと思います。そして皆さん、皆さんと一緒に共に頑張ることによって、幸福度日本一の静岡県を一緒に作ろうではありませんか。よろしくお願いします。

そのためには何としてもこの戦いを勝ち抜かなければなりません。これから全県回って、この思いを訴えてまいります。どうぞ皆さん、その皆さんの確かな1票をさらに大きく広げていただきまして、来る26日には私を県政の壇上にぜひ押し上げていただきますよう心からお願い申し上げまして、決意のご挨拶とさせていただきます。

(テレビ静岡)

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