食パンの調理費用をじか火とトースターで比較
まずは、食パンをトースターとじか火焼きで焼く場合の光熱費を比較します。食パンを1枚焼く場合のトースターとガス火の条件を図表1の条件で計算しました。
図表1
筆者作成
なお、今回使用した電力とガスの単価は「一般社団法人エネルギ―情報センター」のサイトに記載されている2023年12月時点の金額を採用しています。また計算にあたっては、トースト1枚を焼いたときにかかる光熱費だけを算出するため、毎月かかる電気・ガスの基本使用料は考慮しないこととします。
食パンをトースターで焼いた場合
前述の条件で、トースターを使った場合の電気代を計算しましょう。基本的な電気代の計算式は「kW×使用時間(h)×電力単価(円)/kWh」で求められます。
しかし、一般的なトースターの消費電力は「W」で表示されるため、こちらの単位をkW(1kWは1000W)に変換します。また焼き時間は3分であるため、単位を1時間におきかえると、0.05時間です。
すべての条件を今回のケースにあてはめると、トースターの電気代は「1300÷1000×0.05×30.04円/kWh」で算出できます。結果は「1.95円(小数点第二位以下は四捨五入)」です。
食パンをじか火で焼いた場合
同じ条件で、ガスを使った場合のガス代を計算しましょう。ガス代の計算式は「出力(kW)×3.6MJ/h×時間(h)÷ガスの発熱量×単価(円)/立方メートル」で求められます。
ガスコンロの単位はkWなので、この数値を発熱量(MJ/立方メートル)に変換します。1kWは3.6MJ/hであるため、「kW×3.6MJ/h」の数式を用います。またガスの発熱量に関しては、全国的に使われる家庭用プロパンガスのガス熱量「99MJ/立方メートル」を採用しました。
以上の条件をすべてあてはめると、「1.68×3.6×1÷99×161.26円/立方メートル」となり、1時間あたりのガス代は「9.85円(小数点第二位以下は四捨五入)」です。ここに焼き時間1分半(0.025時間)をあてはめると、「0.25円(小数点第二位以下は四捨五入)」とわかります。
トースターとじか火を比べた結果、電気の1.95円とガスの0.25円で、ガス代のほうが安いと判明しました。
トースターは本当に要らないのか
ガス火のほうが安いことがわかったことで「トースターは要らない?」と感じた人も多いことでしょう。しかし、トースターにはガス火にはないメリットがあります。トースターのデメリットも含め解説します。
トースターのメリット・デメリット
トースターの主なメリットとデメリットは、図表2の通りです。
図表2
筆者作成
トースターのメリットは、主に利便性です。光熱費はじか火のほうが安く済む傾向にありますが、トースターは食パンや食材を中に入れるだけで調理できるため、その間に別の作業ができます。
例えば、トースターでトーストを焼けば焼き時間の間にコーンスープやホットコーヒーが準備できるでしょう。しかし、ガス火は焼き時間が短く、焦げないように火元を見続ける必要があります。
また朝起きてまだ眠たい状態だと、ガス火でトーストを作ることをおっくうに感じるときもあるでしょう。トースターは掃除の手間やキッチンスペースのデメリットこそありますが、タイムパフォーマンスの面では優れているといえます。
食パンだけならじか火焼きが低コスト
光熱費の面で見るなら、トースターよりじか火焼きのほうが低コストです。しかし、トースターには自動で調理してくれる大きなメリットがあります。
それぞれ一長一短といえるため、トースターが必要かどうかは人によるといえるでしょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー